Monday, June 04, 2007

核のゴミ捨て場/Fair Dinkum!?

先週末の新聞によれば、北部準州のアボリジニが自らの土地を核のゴミ捨て場として差し出すことを決めたそうです。原発や核燃料サイクルの推進に躍起になるハワード政権、そして日本を含め、原発の恩恵にあずかる現代社会にとっては朗報です。

大陸のまっただ中、アリス・スプリングスとダーウィンの中間にあるテナント・クリークから120キロ離れたマッカティ地区(2241平方キロ)を所有するンガパ族のアボリジニは2年越しの秘密交渉の末、1.5平方キロを核のゴミ捨てに使われることに合意したということです。

連邦政府は低・中レベル核廃棄物、5000立法メートルの貯蔵に1200万豪ドルを払うそうです。この土地の所有を苦難の末に認められた70人からなるンガパ族は、このカネが「子供たちの教育」に必要なのだ、止むに止まれぬ選択であることを強調します。

自然と一体となって暮らしてきたアボリジニのなかには核廃棄物による汚染が「将来に禍根を残す」と心配する声ももちろんあります。準州政府は放射性廃棄物の投棄施設は認めないという法律を可決していますが、連邦政府は意にも介さず押し切る腹づもりです。

まだここがそういう目的に使える土地なのか、環境調査などはまだまだこれからのことだというのに、ビショップ科学大臣は「ここ、4、5年のうちにオープンするだろう」とすでに調査の結果が決まっているような口ぶりです。

アボリジニの苦渋の決断のなかに、何度も訪れた六ヶ所や福井でみたのと同じ構図が浮かんできます。

折しも、先週末はアボリジニを国民として認めるかどうか、国民投票が行われてから40周年でもありました。アボリジニはわずか40年前まで人間として認められていなかったということです。

67年の国民投票では9割が賛成票を投じ、アボリジニは国民として認められるのですが,それまでは「死にゆく民族」として文字通り人間以下の扱いをされていました。白人入植以来の組織的な虐殺こそ止んだものの、子供たちを親や家族から引き離し、里子に出し、施設に収容する政策は長い間続きました。この世代は「盗まれた世代」と呼ばれ、被害にあった子供たちの数は数千人にも上ります。やはり、先週末は「盗まれた世代」に関する政府報告書が作成されてから10周年でした。

これだけの時間が流れ、いくつもの報告書が作成されながら、アボリジニの生活や健康、教育水準はいまだに国民一般よりかなり低く、それは首相や担当大臣も認めるところです。監獄入りする率も一般国民に比べ13倍も高いことが報告されています。

いったん低レベル、中レベルの核廃棄物を受け入れてしまえば、「毒を喰らわば皿まで」で、やがて高レベル廃棄物まで受け入れるようになることは目に見えています。それが我々の暮らす現代社会のやり方です。

困窮に喘ぐアボリジニの足許を見すかし、札束を投げつけ、エネルギー問題の解決を計ろうとする現代社会は病んでいます。

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