Tuesday, July 18, 2006

なぜ、北海油田に匹敵する油田が毎年、見つからないのか/why aren't we finding it?


今日からイタリアのピサで重要な会議が開かれます。メディアでは多分,ほとんど取り上げられることもないと思いますが,石油減耗について、ASPO(ピーク・オイル研究学会) の第5回目の年次総会が開かれます。石油地質学者のコリン・キャンベルが設立した団体で,かなり前からピークについて警鐘を鳴らしており、昨年12月の米議会で開かれた公聴会でも意見を求められています。
ASPOイタリアのプログラムを見ると,このブログでも紹介したピーク論者の名前が,キラ星のように並んでいます。


米軍の技術開発研究所(Army Engineers' Research and Development Center)が昨年9月にピークに関する報告書をまとめてたことは以前紹介しました。
オイル・ピークと米軍、その2

この報告書の大きな特徴のひとつはピークの見通しについて、政府機関である地質調査庁(USGS) などの楽観的な予測を退け、ASPOなど、民間機関の予想や民間識者の意見をを採用していることです。この理由がずっと気になっていましたが、報告書の著者のひとり、ドナルド・フォアニエーがGlobal Public Mediaのインタビューで次のようにその理由を明かしています。
なるほど。まことに至極ごもっとも。ほかの官庁との軋轢を気にして、なかなか民間の「説」を採用したがらない役人が多いのですが,こういうまともな人も中にはいる。少し,希望が出てきます。

(略)
DF:我々がこの報告書に取りかかった時、まず、あちこち、本やネットで文献をさがし、どんな発言がこれまでになされているのかそれを調べることから始めました。それらを読み、誰の言っていることがもっとも理にかなっているか、考えました。
コリン・キャンベルの著作を読み、インタビューも聞きました。シモンズやディフェイスの本も読みました。ジャン・ラレリーがUSGS報告について書いた評論も読みました。そして、はたと気がつきました。言われているような量の石油が本当にあるなら、なぜ、それが発見されていないのか。なぜ、北海油田に匹敵する油田が毎年、見つけられていないのでしょうか。

私は、どちらかと言うと悲観的な立場ですが、悲観的な見方をしておけば、悲観的な事態に対処できるわけで、もし、供給がたくさんあるなら、それに超したことはありません。しかし、生産は需要についていけず、石油価格が高騰するのが現状です。私にはそれを見ただけで十分でした。実際にピークに到達するまでもなく、エネルギー・コストの上昇が経済崩壊を引き起こすかもしれません。啓蒙された利己心を発揮しなければならなくなるでしょう、そんな気がします。実際のところ、エネルギー効率を高め、代替エネルギーを取り入れ、エネルギー効率のいい車両を開発する、そういった策すべてに真剣に取り組んでいけば、多分、需要を供給可能なレベルにまで落とすことができる、そうすれば、石油の値段も下がるのではないかと思います。
これはどちらにころんでも勝てるシナリオです。コストが下がり、しかも環境への影響も減らし、そして、エネルギー効率を高めることで国家の安全保障も高まります。三者丸もうけな方策と言えるでしょう。私はマーフィーの法則を信じます。備えあればうれい無しと言うじゃないですか。
とにかく、私は巷間の議論を眺め、USGSの2000年の報告書も読み、それに対する批判も読み、その上で、ASPOの言っていることのほうが、よりしっくり感じられたのです。
(後略)

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