Sunday, January 08, 2012

泥沼

船体にひびが入った僚艦ブリジッドバルドー号をフリマントルに護送し、再び南氷洋に戻るシーシェパードの旗艦、スティーブアーウィン号(SI)を追跡中の第二昭南丸に8日未明、3人の環境活動家が乗り込んだ。

オーストラリア国内の報道によると、3人はゴムボートで接近し、鉄条網などを乗り越えて昭南丸に乗り込んだという。SI号からは2隻のゴムボートがおろされ、この抗議活動を手助けしたという。

3人はオーストラリア国籍を持ち、西オーストラリアの環境団体、フォーレストレスキューのメンバー。

「自分たちをオーストラリア国土まで連れて行き解放すること、そして、オーストラリアの水域から出て行け」と要求している。SI号の追跡をやめさせることが目的だと見られている。3人が乗船した時、昭南丸の位置は南緯32度、東経115度21分で、岸からの距離は26キロの地点で、オーストラリアの排他的経済水域の中での出来事である。
鯨研側は「日本へ連行し裁判にかける」と強硬な姿勢だが、第二昭南丸はこのまま、3人を乗せたまま航行するのか、それとも、3人をどこかの港でおろすのか、大きな決断を迫られている。
すでに、みどりの党は3人の解放を政府に要求している。もし、シーシェパードのメンバーでもない3人のオーストラリア人を乗せたまま航海を続ければ、オーストラリア政府は介入せざるを得なくなる。外交問題にも発展しかねない。強攻な姿勢をとり続ければ、ただでさえチョーサ捕鯨に批判的なオーストラリア国内の世論を敵に回すことになる。現在のところ、第二昭南丸はSI号を追っているが、コメントをさけている政府も世論の高まりにいずれは口を開かざるを得ない。
3人を要求通り、どこかの港に下ろすとすれば、その間にSI号の行方を見失いかねない。別な船に洋上で引き渡しができればいいのだが、鯨研の態度を見る限り、それを交渉するだけの外交能力があるとは思えない。

日の丸捕鯨船団はまたもう一歩、泥沼に足を踏みこんでしまった。

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