今年もスイスのダボスで開かれた世界経済フォーラム(WEF)の年次総会が1月29日に閉幕した。フォーラムの会員企業経営者や知識人、各国の代表など招待されたものが一堂に会して、資本主義社会をだらだらと延命させるためにあれこれ議論する場として知られている。今年は「高くなる一方の失業率を抑えるためには経済の成長が欠かせない」なんて、あくびが出そうに退屈な認識で一致したそうだ。この連中には危機感が欠如しているようで、これじゃ資本主義の将来も心配になる。
資本家とそれに吸血する政治家どもに対する抗議も毎年行われているが、今年は、あちこちに裸で出没して抗議行動をすることで有名なFEMENというウクライナの女性団体が「貧乏なのは、てめえらのせいだ」とか「危機はダボスで作られる」「ならず者たちがダボスでらんちき騒ぎ」なんて、期待通り、やっぱり裸の上半身に殴り書きにして登場したりして、一層の注目を引いた。
これにくらべるともっとおとなしいけど、資本家どもの集まりに呼応して、この時期に「世界最悪の企業」を選ぶことが行われてきた。地球に害を与え人権を侵害した企業はThe Public Eye Awardsとして表彰されることが2000年から行われている。
この賞の主催はスイスのNGO「ベルン宣言」とスイスのグリーンピース(09年までは地球の友)。毎年、前年の8月ごろから選定が始まり、11月にはそれが6企業にしぼられ、1月に投票が始まり、ダボスで年次総会が始まる頃には最終の投票結果が出るというのが毎年の恒例。
今年ノミネートされた6社は最終投票順(と投票数)に以下の通り。
1 25042票 VALE(ヴァーレ)
ブラジルの総合資源開発企業。鉄鉱石などの生産販売が主力。 アマゾンのど真ん中、ベロモンテ州に巨大な水力発電用のダムを建設したことでノミネートされた。
2 24245票 東電
いわずと知れた核汚染企業。「儲け追求のあまり、安全性無視の結果、放射能を撒き散らし、事故後には情報隠し、隠蔽、改ざんをおこなった」とまことに真っ当な理由でノミネート。
3 19014票 SAMSUNG(三星)
有害物質を労働者に通知せず、無防備に使用し、たくさんの労働者に癌を発病させた韓国の企業。
4 11107票 BARCLAYS(バークレイズ銀行)
投機的な食物先物取引で、世界の貧困層を飢餓に追い込んだ功績が評価された英国の「名門」銀行。
5 6052 SYNGENTA (シンジェンタ)
世界最大の農薬製造企業。その殺虫剤、殺菌剤、除草剤により大地を汚染し、農民数千人を殺したとされるスイス企業。
6 3308票 FREEPORT(フリーポート)
45年にわたり、西パプアで薄給の現地鉱山労働者数千人を酷使し、その自然環境を汚染し続けているアメリカ企業。
今年はずっと東電がトップを走り、当然ながら東電の理由で、ぶっちぎりで栄冠を獲得すると思われていた。しかし、投票終了の一週間くらい前からそれまで3位だったブラジル企業が猛然と追い上げ、結局、800票差で抜き去られてしまった。「最悪のならず者企業」の汚名を逃れるために、何らかの投票操作が行われたのではないかとの疑惑も出ている。もしそれが本当ならば、本物のならず者だ。
で、「最高のならずもの企業」の地位を免れた東電の紹介を見ると、それっぽいキャッチコピーが出てる。
WHAT WE CREATED WE COULD NOT HANDLE
自分のケツも拭けない情けない企業
。
言い得て妙。
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