Wednesday, December 13, 2006

暗黙の秘密/Vanunu in a 'democratic' state.

「失言」とやらががぽろり,ぽろり、同じ時期にいくつも出てくると,なんか,そこにある種の意図的なものを感じてしまいます。もちろん、イスラエルの核兵器の開発,保有は、今時、誰も疑うものがいない暗黙で公然な秘密です。みんな知っているけど,おおっぴらにしゃべっちゃいけない,ってやつ。しーっ。
イスラエル政府を支持する米国政府やイスラエル政府のトップから,この時期に「国家機密」ががまとまって暴露されると,理由は何なんだろうって,考えちゃいます。イランへの威嚇なのでしょうかねえ。しーっ,しーっ。

理由はともかく,最初に「失言」したのはラムズフェルドの後がま,新国防長官のロバート・ゲーツ。今月5日、上院軍事委公聴会で、「イランは東にパキスタン、北にロシア、西にイスラエルという核兵器保有国に囲まれている」とぽろり。

イスラエル政府はこの発言を非難しましたが、二番目の「失言」の主がイスラエルのオルメルト首相だからたまらない。11日に放送されたドイツのテレビとのインタビューで、自国を核兵器保有国の中に挙げてしまいました。

訪問先のドイツで、「イスラエルに核があるから,西側はイランの核開発に強い態度をとれないのではないか」と質問されたオルメルト首相は次のように応えています。

「イスラエルは民主国家であり、他国を脅したりしない。しかし、イランはイスラエルを地図上から消滅させると公言している。(そのイランの)核兵器保有を、米国やフランス、イスラエル、ロシアと同列に論ずることができるのか」と。

まあ、イスラエル政府が躍起になって言うように,これらの国は「核兵器保有国」ではなく、「民主国家」なんだ。そう読めないこともありません。でもなあ。米国やフランスはともかく、ロシアやイスラエルが「民主国家」ってのは、いくらなんでもなあ。強弁すぎやしませんか。

民主主義国家では最低でも,「言論の自由」が保障されているはずですが,イスラエルにはそんなそぶりがちっとも見えません。イスラエルが曖昧に口を濁したがる「核兵器開発/保有」を1986年に公表した内部告発者、モルデハイ・バヌヌは海外で拉致され,国家反逆の罪に問われ,18年間投獄され(うち11年は独房)ました。こんな国が「民主国家」ですって?この「民主国家」では,「公然の機密」をぽろりとやったオルメルト首相もバヌヌと同じように反逆罪に問われるのでしょうか。

バヌヌは,2004年に釈放されたあとも,海外渡航を禁止され,外国のジャーナリストとの接触を禁じられ,事実上,自宅軟禁状態にあります。このたびのオルメルト首相の「機密暴露」をどう思っているのかな,と思ったら,今朝のラジオで発言していました。

外国ジャーナリストとは接触禁止なので、そのかどで,また逮捕されるかもしれない危険を冒しながら,バヌヌはオーストラリアのABCラジオのインタビュー(テキストオーディオ)に応えています。


そのなかで、バヌヌは「これで,イスラエルに核があることがはっきりとした」のだから、自分がが20年前にやったことが正しかったと認めることを要求しています。そして、「20年にわたる拘束から解放し,私を自由にしてほしい」と。

さてはて。米国、フランス,ロシアと並び「民主国家」を気取るイスラエル政府は、この呼びかけにどう反応するのでしょうか。

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