Monday, November 13, 2006

さよならオーストラリア/ship a hoy.

11月9日に発表された世界各国の豊かさを計る国連人間開発指標によれば、もっとも暮らしやすい国は6年連続でノルウェーだそうです。これは世界の177カ国・地域について、個人所得だとか、文盲率、福祉や医療、寿命など人間社会を総合的に評価した結果だそうです。これによると、オーストラリアはアイスランドに次いで,第3位。
うーん。自分がいま,愛想を尽かして見切りを付けようとしているのは、公式には世界で3番目に住みやすい,豊かな場所なのか。
少々戸惑ってしまいます。

hdrcover.gif

でも、この指標、表紙からもわかるように水問題を取り上げてはいますが、ただでさえ乾燥した大陸が「千年に一度の干ばつ」に首根っこをむんずとつかまれている状態なんか,あんまり考慮していないようです。

毎日聞こえてくるのは干ばつのひどさや,淡水化プラントやダムを建てる話だとか,水のリサイクル、不作,肉や穀物,野菜、果実の値上がり,水不足から生じる話題ばかりで,オーストラリアの豊かさって,けっこう、砂上の楼閣のようなところがあると思います。温暖化とオイルピークという歴史的な現実から眺めれば,この国の暮らしやすさは底の浅いもので,とても長続きするようなものには見えません。

ちなみに、日本は7位ですが、こちらも食料自給率が4割くらいではとても心もとない状態です。今日の「豊かさ」にしても添加物のてんこもりじゃ,とても,薄っぺらく見えます。

最近の拙著を読んだ人とか,友人たちはすでにご存知かと思いますが,ここ10年ほど、「ここではないどこか」へ逃げ出したい気持ちは募るばかりです。友人と田舎に土地を買ったり,国内もあちこち,いろいろ検討しましたが、干ばつは全国的です。どこにもオアシスは見つかりません。雨が降らないと,食べるものも作れず,水や食料をめぐり,醜い争いになりそうです。しかも、この国には石炭やウランがふんだんにあります。アブラの供給が途絶えたりすれば,すぐに,そっちへ誘惑されてしまいそうです。

「二大政党制」という見せかけだけでの民主主義にもすっかり飽きてしまいました。これから,議論して、腹をくくらなけりゃならない重大な問題が山積みされているというのに,どちらの政党も似たり寄ったり、グレーな袋小路で立ち尽くしているような気分で、ため息が出るばかりです。「暮らしやすさじゃ世界第3位」の場所には,暮らしやすい明日を作り出すための政治体制も見いだせません。もう,この国には,どうにも未来が見いだせないのです。

teu_1740.jpg

そんなこんなで,もう5,6週したら、この国をしばらく離れることにしました。クリスマスの翌日,シドニーを出航する船に乗る手配をちょうど終えたところです。ドイツ船籍の貨物船,というかコンテナ船ですが、これに揺られて5、6日。大陸の東岸から2千キロほど離れた島に出かけます。そこで,骨を埋める場所を探し、最低でも数ヶ月、あちこち見て回るつもりです。住めそうな場所が見つかるといいなあ。

もちろん、どこへ流れていっても,そこにはそれなりの問題があることは承知してます。でも,沈没しつつある船の上で,それにしがみついて、デッキチェアの位置をあれこれ,議論するのは性に合いません。できれば、まだ時間のあるうちに,船から逃げ出すネズミのように,ケツをまくりたいのです。

(なお,どさ回りにはピュータをもっていかないので、このブログもクリスマス以降、何ヶ月になるかわかりませんが,更新することはありません。あらかじめお断りしておきます。)

No comments: