Monday, January 30, 2006

風の吹くまま/Where streams of whiskey are flowing

1年の計なんて言いながら、農業を学ぼうかなって大学に願書出したら通ってしまった。「エコロジカルな農業」って3年間のコース。「エコロジカルな農業」って「持続可能な発展」と同じくらい、形容矛盾がありそうな気もしますが、まあ、こちらで農業と言うと商業的、工業的な大規模農業を指すんで、それとの対比かなってくらいに受け取ってます。

最後に大学に通ったのは今から20なん年以上前のことなのでちょっと戸惑いがあります。ざ・こもんずのブログで金平さんが最近RCサクセションの久保講堂の録音盤のことを書いてましたが、そのころから通い始めました。RCサクセションは思い出のあるバンドで、久保講堂をやる前かその前の月、渋谷にあった屋根裏というライブハウスで何日間か連続でライブを見に行ったことを憶えています。めちゃくちゃ熱い演奏を反芻しながらシドニーの大学に通い出したのでした。

そう言えば、やはり、ざ・こもんずのブログで高野さんが言及してたアナーキーのデビュー盤を聞いたのも大学に通っている頃で、その頃シドニーで始めたラジオ番組のオープニング・タイトルに「トーキョーズ・バーニング」(ザ・クラッシュの「ロンドンズ・バーニング」のカバー)を使いました。ちなみに、「トーキョーズ・バーニング」という語彙は、95年、終戦50年の節目に東京大空襲を扱うラジオ番組を作った時には、もろタイトルで使わせてもらいました。イタリアの国営放送、RAIのドキュメンタリー賞か何かとったほど気合いを入れた番組でした。

その時は、やりたい科目がなくなり、音楽マネージメントや報道に興味が移っていき、結局卒業しませんでした。今度も、あまり卒業は意識していません。学びたい科目がなくなったり、ほかにおもしろいことが出てくれば、さっさとやめるつもり。

それはともかく。

昨日、大学に出頭してきました。学校は、ここからさらに西へ2、3時間ほどのところ、オレンジという町のはずれにあります。シドニーからは250キロくらい離れた地方都市の北のはずれにあります。もともとは農学校としてスタートしたこじんまりとした学校で、現在は別な地方都市に本拠のある大学の分校のようなもので、学生総数は400人程度。この前通った大学は、この国で一ニを争う規模だったので、それとくらべると、ちいさなな技術訓練校のようです。自分と同じコースを受講する学生の数はなんと6人。そんな数でちゃんとしたコースになるのかいなって、いらぬ心配をしてしまうくらいです。

授業は来月半ばから始まりますが、授業やら何やらが週4日、5日となると、ここから通うわけにもいかず、単身赴任で週末に帰宅ってな生活パターンを考えてます。まあ、前の大学に日本から到着したその足で最初に出頭した時、言葉もろくにしゃべれず、やる科目を決めたり、住むところを確保したり、とにかく大変だったことに比べりゃ、どうってことないかな。なんて気でいます。でも、あの時は、持ち物といってもスーツケースひとつだけで、どこでも安くて転がり込めるところがあればよかったんですが、それなりに歳をくい、あれやこれや、住まいを選ぶ基準もただ、安けりゃいい、どこでもいいってわけにはいきません。

今、検討しているオプションは大きく分けて三つ。ひとつは大学からクルマで1時間半くらいのところに所有する農場から通うこと。10年ほど前に「いずれ」ってな気分で購入した35ヘクタールほどの農場があります。農場と言っても、去年、友人と建てた掘建て小屋(アウトポスト)があるだけ。雨露はしのげますが、水も下水も電気も電話もなし。なのでそれなりの覚悟がいります。ブログの更新はさらに難しくなります。しかも、ここから通学するとなるとクルマがなければとても無理。家賃はかかりませんが、まず、クルマを買わなければならない。しかも時間とガソリンがかなりかかるオプションです。

ふたつ目はアパートなどを借りることですが、調べてみるとオレンジの家賃は地方都市のくせに結構一人前なので、学生などと一軒、家を借りるシェアハウスになるでしょう。家賃や光熱費はかかるが、交通手段は自転車が使えるし、いろいろなものをシェアすれば環境的なコストは低くなるオプションです。ただ、若い連中と顔を突き合わせて暮らしていけるかどうか。シェアハウスは気のあうやつが見つかればそれなりに楽しいものですが、それなりに面倒臭い部分もある。

もうひとつのオプションは学校の寮。家賃には光熱費も含まれ、環境コスト/経済コストはこれが一番低く、しかも、時間の無駄がないオプション。学生寮というのには、信州から東京に初めて出た時、6ヶ月ほど住んだことがありますが、あんまり馴染めなかった記憶があります。生意気で、あれこれ言われるのが嫌な質なのか、とにかく、そこから出て行きたくてたまらなかった。もちろん、そのころよりは共同生活について修行を積んできたので、あの頃のようなことはないと思いますが、それでも心配。

気持ち的にはふたつ目と三つ目のオプションに傾いています。クルマ社会といわれるオーストラリアで、もう15年以上クルマを所有せずにやってきて、できればこれからもクルマと関わりたくない。これまで、うまいことにクルマ持ちの相棒とひっついたから自分個人でクルマを所有しなかっただけで、それなりに、クルマには世話になってはきたが、これからの石油減耗時代のことを考えると、クルマとは関わりたくない。

最近とても勇気づけられているブログのひとつにサイクルロード(千里の自転車道も一ブログから)があります。cycleroadさんが自転車のりの視点から現代社会を斬るブログです。毎日このブログを読んでいると、そうだ、自転車だって気がどんどんしてきます。

それで、交通手段については、うちからカトゥーンバの駅まで自転車で行き、自転車ごと電車に乗ってオレンジへ、そして、そこからまた自転車という形がいいかなって気になり始めました。こちらでは、よっぽどの混雑時でない限り、電車に自転車と一緒に乗る人を普通に見かけます。オイル・ピーク後の石油減耗時代の交通手段として、自転車と電車のコンビネーションはまずまずだろうと。

もっとも、ここから直通の電車は日に上り下りがそれぞれ1本だけで、あとは途中からバスになるので、自転車は運べるのだろうか、そう思って確認の電話を入れてみました。すると、ここからオレンジへ行く直通電車はスペースが狭いので、ばらして貨物扱いになり、子供料金が必要だとのこと。バス便も同様とのこと。うーん。そうなるとなあ。クルマとかかわりを持つオプションも再浮上しています。

てなわけで、あと2週間もすれば授業が始まるってのに、まだ、住むところは決まっていない。

でもまあ、ポーグス流に言えば、

行くぞ、どこまでも
風が吹くまま
行くぞ、どこまでも
酒が脈々と流れるところなら、どこへでも

ということで、あまり、真剣にはとらえてませんが。
はてさて、どうなることやら。

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