Thursday, January 05, 2006

オイル・ピークに関し米議会で公聴会/Oil Peak vs the Congress

ちょっと、時間が経ってしまいましたが、ワシントンで12月7日に開かれたエネルギーと大気の質に関する小委員会でオイル・ピークに関する公聴会の報告を。この件についてはsgwさんが温暖化いろいろでも言及されていますので、そちらも御覧下さい。


いろいろ、議論するべき事項が山積み状態のなか、議会で取り上げられたということだけでも、アメリカ社会がオイル・ピーク問題にに真剣になりつつあることがわかります。もちろん、だからといって、即、行動に直結するわけではありませんが、議会では超党派のグループが結成され、そろりそろりとではありますが、政治レベルでの取り組みが始まりつつあります。

公聴会の口火を切ったのは、3月以来、下院でこの問題について、すでに14のスピーチをしており、先頃ピーク対応決議を提案し、そもそも、この公聴会をしかけたロスコー・バートレット議員(共和党/メリーランド)。バートレット議員はガチガチの保守だが、アメリカのオイルピークが1970年に訪れるだろうとしたシェル・オイル社の地質学者キング・ハバートの引用からはじめ、問題の深刻さを説明した。

それに続いたのは、先日下院に超党派の9人の議員で結成されたピーク・オイル・コーカスのメンバー、トム・ユーダル議員(民主党/ニューメキシコ)。ちなみにこのグループの残りの顔ぶれはジェームス・マクガヴァン(民主党/マサチューセッツ)、バーン・エーラース(共和党/ミシガン)、マーク・ユーダル(民主党/コロラド)、ラウル・グリハルバ(民主党/アリゾナ)、ウェイン・ギルクリスト(共和党/メリーランド)、ジム・モラン(民主党/ヴァージニア)、デニス・モア(民主党/カンサス)。

ユーダル議員は、原爆を作り出したマンハッタン計画や、人間を月に送ったアポロ計画に匹敵する規模のオイル・ピーク対策を打ち出すよう、アメリカ政府に求めた。

ASPO(ピークオイル研究学会)の代表で、ウプサラ大学(スウェーデン)で放射科学を教えるキエル・アレクレット教授は、「他国に正当なシェアを認めるなら、世界の5%の人口のアメリカが、世界で生産される石油の25%を消費し続けることは許されない」と発言し、オイルピーク問題には世界的な対処が必要で、そのためにはアメリカなどの先進国がリーダ-シップをとるべきだと付け加えた。

エネルギー省の要請でオイルピーク問題から生じる影響を緩和するためのレポートを作成したSAIC社の上級エネルギープログラムアドバイザーのロバート・ハーシュは、問題の影響を最小限にするためには、今から最大の努力をしなければならないと強調した。

「ピークに達するのがいつなのかわからないというだけで、それに到達するまで何も準備しないでいたら、世界は適切な液体燃料を確保できない状態に直面するでしょう。ピークに達する20年以上前から計画を立てていれば、深刻な状態を回避できる可能性がある 」

公聴会には、ピーク否定の楽観論者も招かれ、ロバート・エッサー(ケンブリッジ・エネルギー調査協会)が「石油はいますぐにも、中期的にも枯渇しない。石油生産は、これから30年から40年、波打ちながら高原状態を続ける」と発言した。

それぞれの発言はグローバル・パブリック・メディアのアーカイヴで閲覧/聴取可能。


世界第二の原油輸入量をほこる日本や、減耗時代への備えにまったく無頓着な資源大国オーストラリアにはピークを真剣に取り上げる議員すらいないので、それだけでもうらやましくなってしまう。

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