Thursday, January 20, 2011

TPPについて私が知っている二、三の事項(2)/Deux ou trois choses que je sais d'elle(2).

TPPについて、相変わらず真空状態の中にでもいるかのような視点から、ああでもないこうでもないって意見が大量に垂れ流されていて、びっくりしてしまいます。

そういう汚濁の中に、自分たちが呼吸する時代がどんな時代であるのか、びしっと見据えた意見もあります。

そしてTPPで騒ぐマスコミが知らん振りをしているのは、ピークオイルの問題である。
国 際エネルギー機関はこの2010年11月に、「世界の原油生産は2006年にピーク(増産の限界点)を越したと見られる」と発表した。もう経済成長はあり えないのだ。今後は原油生産の低減で、工業経済はガス欠状態に陥り、徐々に収縮していくだろう。貿易を支える海運も、燃料の高騰で採算がきつくなる。ピー クオイルの厳然たる事実は、今世紀はエネルギーと食料の危機の世紀であること、そして人類の未来は長期的には農業中心の地域共同体にあることを示してい る。
この危機は、中国などですでに表面化してきている。TPPどころではない。われわれは手遅れにならないうちに、文明の転換のための作業を始め なければならない。・・・そうした方向転換を中央の政府には期待しない方がいい。おそらくそうした転換は地方の、地域の人々の草の根の動きとして始まり、 それが自治体を動かし、自治体が国を突き上げる形で始まるだろう。そこに日本の未来があることを、私は確信している。


これは農文協が年末に緊急出版したTPP反対の大義に収録される関曠野の文章です。これまでに言及しているように、これからも今のように石油をじゃぶじゃぶと使う暮らしを続けていけるのか、今のような世界貿易を続けていけるのか。そこまで踏み込んでTPPのようなことも、判断しなければなりません。

もうひとつ、TPP推進派は気にもかけないのか、あまり口にしませんが、以前ここでも言及した食品安全近代化法は1月4日に大統領が署名し、発効しました。

TPPに加盟すれば、日本の食品についても同様の基準が要求されるようになるのでしょうか。数年前に言及したNAISなんてのも導入しなければならなくなるかもしれません。

上で紹介した文章で、関はこうも言います。

「TPPに参加しないと日本は国際的に取り残される」と言う。
何から取り残されるのか。タイタニックに乗り遅れるのは結構なことだ。

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