南氷洋を舞台とする日の丸チョーサ海イノシシ屠殺船団と、(海賊)シーシェパードの戦いが新たな局面に入ったようです。報道管制をしいていたシーシェパードからの報告が復活しました。
シーシェパードの新鋭高速艦ゴジラ号は今月22日、タスマニア州の州都に寄港し、エンジンポンプの故障を修理したあと、ロス海周辺の戦域に復帰。このゴジラ号がホバートに行く前に気象気球で、捕鯨母船、日新丸の位地を把握。スティーブ・アーウィン号はゴジラ号からの連絡に基づき、18日から給油船サンローレル号の追尾行動から離れ、日新丸に向けて航行開始。25日には積み込んだヘリコプター、ナンシー・バーネット号がついに日新丸を捕捉。(このへん、「大本営」からの発表がないので、海賊軍団からの発表に頼ることになります。10億円ともいわれる血税でやってる「チョーサ」海イノシシ屠殺なのでありますから、水産庁ももっと日本の納税者にジョーホーを流してもいいと思うんですけど。そのへん、日本の日の丸ノーゼーシャは、感じないっしょうか。)
それはともかく、ゴジラ号の気象風船にはカメラのほか、レーダーやら通信を傍受する器械がつまれてるそうなんで、約1万メートルの高空から「敵船団」を探すことができるそうです。ういっす。
んで、日新丸を追うスティーブ・アーウィン号は27日の時点で、燃料がうっぷうっぷ。足りなくなっちゃって、往復16日かけてニュージーランドのウエリントンに給油に向かうそう。日新丸の追尾は僚船ボブバーカーと帰投するゴジラに任せる。ロス海の氷の海へ逃げ込む日新丸。そら、海賊が追ってくるぞ。
これまでの(海賊側からの)情報を総合するとそうなります。
ワトソン船長の率いる船が戻ってくるのは早くて2月半ばのこと。チョーサ捕鯨船団としては、鬼の居ぬ間に穫れるだけクジラを捕っておきたいところ。ところで、今期はすでにチョーサ用にどのくらい、海イノシシ、穫ったんでしょうね。
まあ、寒い日本で火を焚いて、手を温めながらって百姓は、クジラはクジラでも山クジラの方がもっと切実な問題だと感じてるんじゃないっすか。以前は山クジラ対策の補助事業もあったそうですが、仕分けされちゃっ。すぱっと。でもどうせ仕分けるんなら南氷洋の海イノシシのチョーサじゃないかなあ。ばしっと切らなけりゃならないのは。
(Re)Search and Destroy
「山頂2号」という名前は、90年代に一緒に遊んでいた大阪の茨木市にお住まいの「山頂1号」さんに倣いました。パーマン1号、2号ののり。今は「アオラキのカヌー」で海を見下ろす丘の上に暮らしてますが、当時は山の上に暮らしていたからです。 このサイト、基本的には別な媒体に書いた文章の保存が目的なので、図版やリンクなど不備があるかもしれません。まあSpiegel Im Spiegel(鏡の中の鏡)、いろいろ乱反射もある。ということでお許しを。
Monday, January 31, 2011
Tuesday, January 25, 2011
英国ピーク事情/Teqs rules UK?
超党派の議員で作られる「ピークオイルに関するグループ(APPGOPO)」がTeqsというエネルギー配給制度の導入を提案する報告書を提出しました。
TEQs (Tradable Energy Quotas)は「取引可能なエネルギー割当」のことで、テックスと発音するそうです(ニュージーランド人が発音すると「ダニ」のように聞こえちゃう。)
この報告書をまとめたのは無駄のない経済関係(The lean economy connection)というロンドンにある研究機関です。これは昨年11月に他界したデビッド・フレミングが立ち上げた機関で、テックス自体もフレミングが1996年に最初に提唱したものです。
フレミングは環境運動やエネルギー運動の活動家で、英国の緑の党の創設にも寄与し、1990年代からピークについての対策を講じるよう呼びかけた人です。ピークへの対応のひとつとして日本でも広がりつつあるトランジション・タウン運動の生みの親、ロブ・ホプキンスは「ハインバーグのピ−クオイルに関する考察、ホルムグレンのパーマカルチャー、そしてフレミングのたくましい地域社会という考えをまとめたものだ」とフレミングの影響の大きさを語っています。だから、関係者のなかには、フレミングをトランジション・タウン運動の祖父と呼ぶ人もいます。
英国におけるオイルピークが活発化するひとつの契機は1999年4月、プロスペクト誌に掲載されたフレミングの「次の石油ショック?」という記事でした。
この記事で、フレミングは前年の『世界エネルギー展望』には暗号が含まれている。大きな影響をもたらすであろうエネルギー危機が近いことを示唆しているのではないかと国際エネルギー機関(IEA)の発表をいぶかりました。こんな記事をそれから5年とか10年後に書いたならともかく、1999年に書いているところがフレミングのすごいところです。なにしろ、その年の1月には石油価格は最近では最低のバレルあたり17ドル(現在の1/5)をつけたのですから。
これを読んだIEAの主任エコノミスト、ファティ・ビロールはフレミングに会いたいとコンタクトをとってきたそうで、「あなたの読みは正しい。世界でもこれが分かったのは6人くらいじゃないか」とフレミングに言ったとされています。フレミングが1996年にはじめて言及したエネネルギー配給制度の確立に全力を注ぐようになったのはビロールと会ったあとだといわれています。
さて、英国議会のなかに2007年の7月に設置された「ピークオイルに関するグループ(APPGOPO)」はピークオイルの経済や国民生活への影響を図り、適切な政策を進言することを目的とする超党派の議員からなるグループのことです。ジョン・ヘミング下院議員(自民党)が座長で、保守党、自民党、野党の労働党、緑の党など、国会に議席を持つすべての政党の議員が参加しています。
イギリスではすでに2008年の11月に「気候変動法The Climate Change Act」が発効しており、法的には、個人にそれぞれ大気汚染の許容範囲を認め、使わなかった汚染権を取引したり、足りなくなれば買い取ることができるようになっています。まだ導入はされていませんが、オーストラリア領のノーフォーク島で排出権個人取引の世界最初の導入実験が今年早々にもはじまることになっています。
テックスはそれと似たような形で、それぞれの大人にこれだけのエネルギー(ガソリンと電力)を使っていいよという形で、毎週エネルギーの使用権が配給されます。エネルギーの1ユニットはそれぞれの燃料の生産から消費の過程で生産される二酸化炭素1キロに相当すると定義されています。したがって、テックスはエネルギー配給制度という側面と同時に気候変動対策でもあります。
テックスは個人あてに電子的に配給され、実際にガソリンや電力を購入する際には割当枠とカネを支払います。個人の消費が割り当てられたエネルギー枠を下回れば、あまりは市場で取引することができ、足りなくなればエネルギー割当を他の人から買わなければなりません。それが省エネを促す、温暖化ガス生産を抑えることになるという目論見です。公共機関や企業は毎週、必要なエネルギー割当を購入しなければなりません。
全国的に出回るエネルギー総量は政府が決定します。出回るエネルギーの量を毎年落としていけば、エネルギー減耗対策にもなり、気候変動対策になるという仕組みです。
法的には前述の「気候変動法」に基づき、テックスは今すぐにでも導入することができますが、この報告書を発表したAPPGOPOの座長、ヘミング議員は明日導入するというわけではないと述べています。まだまだ、議論が必要になるはずです。
テックスの導入がいつになるのかはともかく、実効はどうでしょう。果たして英国一国における導入がどれほどの効果を生むのでしょうか。英国が節約した分は「これまで通り」を決め込む別な国で消費されてしまうのではないか。そういう心配があります。また、それを防止するために国際的な枠組みを作ろうとすれば、京都議定書のように延々と時間がかかり、しかも合意ができても、誰も真剣にならないという弱点があります。
エネルギー減耗議定書をつくろう、国際的な枠組みをつくろうという提案はリチャード・ハインバーグなどによって繰り返されていますが、なかなか前に進んでいません。APPGOPOにも関わってきたジェレミー・レゲットは「京都」や気候変動の国際会議にも自ら関わった経験から、国際減耗議定書は時間のむだだと著作『ピークオイルパニック』で言っています。
導入がいつになるにせよ、こういう大事なことを国会議員が真剣に議論し、研究している、導入へ現実的な道筋も考えているということはうらやましい限りです。
些細なことにばかり終始するどこかの国の議員は爪のあかでも煎じて飲んでほしいものです。英国の同僚に見えることがあなた方にはなぜ見えないのですか。どんな時代に生きているのか、その時代はどんな問題を抱えているのか、真正面から見てください。ピークと気候変動の複合作用がどんな影響をもたらすのか、そしてどんなシナリオが可能なのか、それを考える格好の入門書はホルムグレンの近刊、『未来のシナリオ』です。何人かの議員には本が送られているはずです。ただつんどかないで、ぜひ、ページをめくってみてください。
TEQs (Tradable Energy Quotas)は「取引可能なエネルギー割当」のことで、テックスと発音するそうです(ニュージーランド人が発音すると「ダニ」のように聞こえちゃう。)
この報告書をまとめたのは無駄のない経済関係(The lean economy connection)というロンドンにある研究機関です。これは昨年11月に他界したデビッド・フレミングが立ち上げた機関で、テックス自体もフレミングが1996年に最初に提唱したものです。
フレミングは環境運動やエネルギー運動の活動家で、英国の緑の党の創設にも寄与し、1990年代からピークについての対策を講じるよう呼びかけた人です。ピークへの対応のひとつとして日本でも広がりつつあるトランジション・タウン運動の生みの親、ロブ・ホプキンスは「ハインバーグのピ−クオイルに関する考察、ホルムグレンのパーマカルチャー、そしてフレミングのたくましい地域社会という考えをまとめたものだ」とフレミングの影響の大きさを語っています。だから、関係者のなかには、フレミングをトランジション・タウン運動の祖父と呼ぶ人もいます。
英国におけるオイルピークが活発化するひとつの契機は1999年4月、プロスペクト誌に掲載されたフレミングの「次の石油ショック?」という記事でした。
この記事で、フレミングは前年の『世界エネルギー展望』には暗号が含まれている。大きな影響をもたらすであろうエネルギー危機が近いことを示唆しているのではないかと国際エネルギー機関(IEA)の発表をいぶかりました。こんな記事をそれから5年とか10年後に書いたならともかく、1999年に書いているところがフレミングのすごいところです。なにしろ、その年の1月には石油価格は最近では最低のバレルあたり17ドル(現在の1/5)をつけたのですから。
これを読んだIEAの主任エコノミスト、ファティ・ビロールはフレミングに会いたいとコンタクトをとってきたそうで、「あなたの読みは正しい。世界でもこれが分かったのは6人くらいじゃないか」とフレミングに言ったとされています。フレミングが1996年にはじめて言及したエネネルギー配給制度の確立に全力を注ぐようになったのはビロールと会ったあとだといわれています。
さて、英国議会のなかに2007年の7月に設置された「ピークオイルに関するグループ(APPGOPO)」はピークオイルの経済や国民生活への影響を図り、適切な政策を進言することを目的とする超党派の議員からなるグループのことです。ジョン・ヘミング下院議員(自民党)が座長で、保守党、自民党、野党の労働党、緑の党など、国会に議席を持つすべての政党の議員が参加しています。
イギリスではすでに2008年の11月に「気候変動法The Climate Change Act」が発効しており、法的には、個人にそれぞれ大気汚染の許容範囲を認め、使わなかった汚染権を取引したり、足りなくなれば買い取ることができるようになっています。まだ導入はされていませんが、オーストラリア領のノーフォーク島で排出権個人取引の世界最初の導入実験が今年早々にもはじまることになっています。
テックスはそれと似たような形で、それぞれの大人にこれだけのエネルギー(ガソリンと電力)を使っていいよという形で、毎週エネルギーの使用権が配給されます。エネルギーの1ユニットはそれぞれの燃料の生産から消費の過程で生産される二酸化炭素1キロに相当すると定義されています。したがって、テックスはエネルギー配給制度という側面と同時に気候変動対策でもあります。
テックスは個人あてに電子的に配給され、実際にガソリンや電力を購入する際には割当枠とカネを支払います。個人の消費が割り当てられたエネルギー枠を下回れば、あまりは市場で取引することができ、足りなくなればエネルギー割当を他の人から買わなければなりません。それが省エネを促す、温暖化ガス生産を抑えることになるという目論見です。公共機関や企業は毎週、必要なエネルギー割当を購入しなければなりません。
全国的に出回るエネルギー総量は政府が決定します。出回るエネルギーの量を毎年落としていけば、エネルギー減耗対策にもなり、気候変動対策になるという仕組みです。
法的には前述の「気候変動法」に基づき、テックスは今すぐにでも導入することができますが、この報告書を発表したAPPGOPOの座長、ヘミング議員は明日導入するというわけではないと述べています。まだまだ、議論が必要になるはずです。
テックスの導入がいつになるのかはともかく、実効はどうでしょう。果たして英国一国における導入がどれほどの効果を生むのでしょうか。英国が節約した分は「これまで通り」を決め込む別な国で消費されてしまうのではないか。そういう心配があります。また、それを防止するために国際的な枠組みを作ろうとすれば、京都議定書のように延々と時間がかかり、しかも合意ができても、誰も真剣にならないという弱点があります。
エネルギー減耗議定書をつくろう、国際的な枠組みをつくろうという提案はリチャード・ハインバーグなどによって繰り返されていますが、なかなか前に進んでいません。APPGOPOにも関わってきたジェレミー・レゲットは「京都」や気候変動の国際会議にも自ら関わった経験から、国際減耗議定書は時間のむだだと著作『ピークオイルパニック』で言っています。
導入がいつになるにせよ、こういう大事なことを国会議員が真剣に議論し、研究している、導入へ現実的な道筋も考えているということはうらやましい限りです。
些細なことにばかり終始するどこかの国の議員は爪のあかでも煎じて飲んでほしいものです。英国の同僚に見えることがあなた方にはなぜ見えないのですか。どんな時代に生きているのか、その時代はどんな問題を抱えているのか、真正面から見てください。ピークと気候変動の複合作用がどんな影響をもたらすのか、そしてどんなシナリオが可能なのか、それを考える格好の入門書はホルムグレンの近刊、『未来のシナリオ』です。何人かの議員には本が送られているはずです。ただつんどかないで、ぜひ、ページをめくってみてください。
Sunday, January 23, 2011
水色の自治/Plastic passion (is hard to handle).
昔は日常的に使っていたのに、今ではまったく手にすることのないもののひとつにプラスティックのボトル入り飲料水入りがあります。プラスティックの買い物袋と同じ頃、ほとんど同じ理由で使うのをやめることにした。どちらも格好が悪くてださいし、手触りも嫌いだし、どこかへ捨てなけりゃならないんだもの。
そのボトルが回り回ってどこへ行くのか、またどうやってそのボトルが作られたのか、なぜ、こんなに格好わるいのか、考えだしたらとても使えなくなった。
それらを捨てる「どこか」は見つからないし、「どこか」のはずの場所はださくて唖然としちゃった。「どこか」は、もうそれはいろいろ見に行きました。東京の「夢の島」も、そのあと何日も匂いが染み付くくらい見学させてもらったし、いろいろな町の「埋め立て地」もいやというほど見て回り、あまりにださいんでうんざりしちゃった。人間の技術だとか、叡智だとか、偉そうなこといってもせいぜい、この程度なのね。
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=uLrVCI4N67M&w=480&h=390]
喉が渇けば、ボトルを買う習慣が身に付いている現代人ばかりなのかと思ったら、そのあたりの感覚を共有する人が少しずつではありますが広がっているようです。
1月21日付け、オーストラリアのABC放送のニュースによれば首都の国立大学、キャンベラ大学が飲料水のペットボトルを販売禁止にするそうです。学生とスタッフあわせてキャンパス人口は13,000人。この措置で年間14,3000本のボトルが消費されないことになると予測されています。
キャンベラ大学学長のパーカー教授によれば、
ボトルを作るのに200ミリのアブラがいる。そして1リットルの水を作るために3リットルが必要。ボトルは43%がリサイクルに回されるが、残りはゴミとして捨てられ、埋め立て地にまわる
そうです。
日本ではどのくらいがリサイクルに回るのでしょうか。これを見ると、日本もにたようなものでしょうか。たとえリサイクルが100%でも問題がないわけじゃありません。リサイクルするためには、集めたり、仕分けをしたり、そして別な新しい製品として使えるようにするために、またエネルギーが必要になるからです。
知らなかったのですが、オーストラリアではすでに2009年、ニューサウスウエールズ州のバンダヌーンという町で、世界ではじめて、ペットボトル飲料水の販売禁止が導入されています。同じ年の7月に住民投票が行われ、355対1で禁止を決めたそうです。今回のキャンベラ大学の方が規模も大きく、しかも高等教育機関ではもちろんはじめてです。学生たちの間から、そういう提案が出てきたそうです。
キャンベラ大学では、バンダヌーンでもそうでしたが、噴水式水飲み器の設置が予定されています。日本でもオーストラリアでも、昔は駅や公園にあって、誰でも無料で水が飲めたものです。人間は水がなければ生きていけないわけで、きれいで飲用に適する水を社会がみんなのために提供するというのは、きわめて理にかなうことだと思います。
地域の住民や団体が、それぞれの場所でこのような理にかなうことをやっていくことが自治であり、その伝統がオーストラリアではまだまだ、どくんどくんと脈打っているのかもしれません。それとも、オーストラリアは世界中でも気候変動の影響を最も受けやすい場所のひとつであるだけに、そこに暮らす人が人一倍敏感に反応しているだけなのかもしれません。
昨今の日本に見られるような、グローバル化への醜い悪あがきの流れで見れば、こうした自治の動きはTPPなどの「自由貿易」協定では潰されかねないものであることも留意しておかなければなりません。
ここでも言及しましたが、「NAFTA(北米自由貿易協定)の11章」とよばれる「国対投資家の紛争解決(ISDS)」があります。投資家がパートナー国の政策により不利益を被った場合、提訴することができ、その投資家が勝訴すれば、パートナー国は損害賠償をしなければならないという条項です。もし、オーストラリアがこのような条項を持つ「自由貿易協定」をどこかの国と結んでいれば、ボトル入り飲用水で金儲けをする企業(例えば、赤と白の色使いで有名な企業など)が、バンダヌーンやキャンベラ大学の措置を提訴することは容易に想像できます。
人間には自治も水も欠かせません。それらを人間から奪おうとするのがグローバル化であり、自由貿易であるなら、遠慮します。ださいし、きわめて格好悪いんで、自分はローカルで行くことにします。
Here's how to handle Plastic passion.
そのボトルが回り回ってどこへ行くのか、またどうやってそのボトルが作られたのか、なぜ、こんなに格好わるいのか、考えだしたらとても使えなくなった。
それらを捨てる「どこか」は見つからないし、「どこか」のはずの場所はださくて唖然としちゃった。「どこか」は、もうそれはいろいろ見に行きました。東京の「夢の島」も、そのあと何日も匂いが染み付くくらい見学させてもらったし、いろいろな町の「埋め立て地」もいやというほど見て回り、あまりにださいんでうんざりしちゃった。人間の技術だとか、叡智だとか、偉そうなこといってもせいぜい、この程度なのね。
[youtube=http://www.youtube.com/watch?v=uLrVCI4N67M&w=480&h=390]
喉が渇けば、ボトルを買う習慣が身に付いている現代人ばかりなのかと思ったら、そのあたりの感覚を共有する人が少しずつではありますが広がっているようです。
1月21日付け、オーストラリアのABC放送のニュースによれば首都の国立大学、キャンベラ大学が飲料水のペットボトルを販売禁止にするそうです。学生とスタッフあわせてキャンパス人口は13,000人。この措置で年間14,3000本のボトルが消費されないことになると予測されています。
キャンベラ大学学長のパーカー教授によれば、
ボトルを作るのに200ミリのアブラがいる。そして1リットルの水を作るために3リットルが必要。ボトルは43%がリサイクルに回されるが、残りはゴミとして捨てられ、埋め立て地にまわる
そうです。
日本ではどのくらいがリサイクルに回るのでしょうか。これを見ると、日本もにたようなものでしょうか。たとえリサイクルが100%でも問題がないわけじゃありません。リサイクルするためには、集めたり、仕分けをしたり、そして別な新しい製品として使えるようにするために、またエネルギーが必要になるからです。
知らなかったのですが、オーストラリアではすでに2009年、ニューサウスウエールズ州のバンダヌーンという町で、世界ではじめて、ペットボトル飲料水の販売禁止が導入されています。同じ年の7月に住民投票が行われ、355対1で禁止を決めたそうです。今回のキャンベラ大学の方が規模も大きく、しかも高等教育機関ではもちろんはじめてです。学生たちの間から、そういう提案が出てきたそうです。
キャンベラ大学では、バンダヌーンでもそうでしたが、噴水式水飲み器の設置が予定されています。日本でもオーストラリアでも、昔は駅や公園にあって、誰でも無料で水が飲めたものです。人間は水がなければ生きていけないわけで、きれいで飲用に適する水を社会がみんなのために提供するというのは、きわめて理にかなうことだと思います。
地域の住民や団体が、それぞれの場所でこのような理にかなうことをやっていくことが自治であり、その伝統がオーストラリアではまだまだ、どくんどくんと脈打っているのかもしれません。それとも、オーストラリアは世界中でも気候変動の影響を最も受けやすい場所のひとつであるだけに、そこに暮らす人が人一倍敏感に反応しているだけなのかもしれません。
昨今の日本に見られるような、グローバル化への醜い悪あがきの流れで見れば、こうした自治の動きはTPPなどの「自由貿易」協定では潰されかねないものであることも留意しておかなければなりません。
ここでも言及しましたが、「NAFTA(北米自由貿易協定)の11章」とよばれる「国対投資家の紛争解決(ISDS)」があります。投資家がパートナー国の政策により不利益を被った場合、提訴することができ、その投資家が勝訴すれば、パートナー国は損害賠償をしなければならないという条項です。もし、オーストラリアがこのような条項を持つ「自由貿易協定」をどこかの国と結んでいれば、ボトル入り飲用水で金儲けをする企業(例えば、赤と白の色使いで有名な企業など)が、バンダヌーンやキャンベラ大学の措置を提訴することは容易に想像できます。
人間には自治も水も欠かせません。それらを人間から奪おうとするのがグローバル化であり、自由貿易であるなら、遠慮します。ださいし、きわめて格好悪いんで、自分はローカルで行くことにします。
Here's how to handle Plastic passion.
Friday, January 21, 2011
地方の、地域の人々の草の根の動き/relocalise now.
先日紹介した「TPP反対の大義」に収録される文章で関曠野はこう言っています。
そうした方向転換を中央の政府には期待しない方がいい。おそらくそうした転換は地方の、地域の人々の草の根の動きとして始まり、 それが自治体を動かし、自治体が国を突き上げる形で始まるだろう。そこに日本の未来があることを、私は確信している。
関が「地方の、地域の人々の草の根の動き」と呼ぶ活動が自分の田舎の信州安曇野(この呼称は実はあまり好きではありませんが、それはまた別な話)で展開されるようです。ぜひ、お誘い合わせて参加ください。
ーーー<転載>ーーー
安曇野からのカントリーメール
今年の春からの講座の案内をさせて戴いたところ
たくさんの申し込みがあり感謝しています。
1年間安曇野に通うことで新たな発見とつながりが生まれることと思います。
まだゆとりのある講座もございます。
参加をお待ちしています。
興味のある方に ご紹介戴くと有難いです。
--------------------------------
■自然から学ぶ~心地よい暮らし 募集中
■安曇野自然農塾 1次募集締め切り一月末
■安曇野家族田んぼの会 募集中
■安曇野家族かまどの会 募集中
■安曇野パーマカルチャー塾 キャンセル待ち若干名募集中
--------------------------------
■自然から学ぶ~心地よい暮らし
ヨーガ、アーユルヴェーダをベースに マクロビオティック、パーマカルチャー
自然農、自然体験 手仕事 など 持続可能な心地よい暮らしを学びます。
食事はアーユルヴェーダを基本としたヘルシーな菜食メニューを
料理教室で一緒に作ります。
期 間:2010年4月~11月までの月1回 土日の1泊2日、全7回
参加費:5万2千円
http://www.ultraman.gr.jp/shantikuthi/oneearthclass2011.htm
■安曇野自然農塾
信州安曇野の自然の中、一年を通じて自然農を学び、
自分の畑で作物を作り いのちの営みを感じてみませんか?
開催日程:2010年3月~12月の全10回
受講料:8万円
http://www.ultraman.gr.jp/sizennou/2011azuminosizennoubosyuyoukou.htm
■田んぼの会
昔ながらの農作業を家族で体験します。家族連れも大歓迎
参加費 1000円 年4回
http://www.ultraman.gr.jp/shalom/tannbonokai2011.htm
■かまどの会
素敵なかまどとアースオーブンを使ってのアウトドアークッキングです。
参加費 年間1800円 年5回
http://www.ultraman.gr.jp/shalom/kamadonokai2011.htm
■安曇野パーマカルチャー塾 キャンセル待ち募集中
開催日程:2011年3月~12月の全10回(1泊2日または2泊3日)
受講料:10万5千円
http://www.ultraman.gr.jp/perma/2011bosyuu.htm
どれも人気のあるワークショップで定員になりお断りすることが多いです。
早めにお申し込みください。
お逢いできるのを楽しみにしています。
ーーー<転載終了>ーーー
Thursday, January 20, 2011
TPPについて私が知っている二、三の事項(2)/Deux ou trois choses que je sais d'elle(2).
TPPについて、相変わらず真空状態の中にでもいるかのような視点から、ああでもないこうでもないって意見が大量に垂れ流されていて、びっくりしてしまいます。
そういう汚濁の中に、自分たちが呼吸する時代がどんな時代であるのか、びしっと見据えた意見もあります。
そしてTPPで騒ぐマスコミが知らん振りをしているのは、ピークオイルの問題である。
国 際エネルギー機関はこの2010年11月に、「世界の原油生産は2006年にピーク(増産の限界点)を越したと見られる」と発表した。もう経済成長はあり えないのだ。今後は原油生産の低減で、工業経済はガス欠状態に陥り、徐々に収縮していくだろう。貿易を支える海運も、燃料の高騰で採算がきつくなる。ピー クオイルの厳然たる事実は、今世紀はエネルギーと食料の危機の世紀であること、そして人類の未来は長期的には農業中心の地域共同体にあることを示してい る。
この危機は、中国などですでに表面化してきている。TPPどころではない。われわれは手遅れにならないうちに、文明の転換のための作業を始め なければならない。・・・そうした方向転換を中央の政府には期待しない方がいい。おそらくそうした転換は地方の、地域の人々の草の根の動きとして始まり、 それが自治体を動かし、自治体が国を突き上げる形で始まるだろう。そこに日本の未来があることを、私は確信している。
これは農文協が年末に緊急出版したTPP反対の大義に収録される関曠野の文章です。これまでに言及しているように、これからも今のように石油をじゃぶじゃぶと使う暮らしを続けていけるのか、今のような世界貿易を続けていけるのか。そこまで踏み込んでTPPのようなことも、判断しなければなりません。
もうひとつ、TPP推進派は気にもかけないのか、あまり口にしませんが、以前ここでも言及した食品安全近代化法は1月4日に大統領が署名し、発効しました。
TPPに加盟すれば、日本の食品についても同様の基準が要求されるようになるのでしょうか。数年前に言及したNAISなんてのも導入しなければならなくなるかもしれません。
上で紹介した文章で、関はこうも言います。
「TPPに参加しないと日本は国際的に取り残される」と言う。
何から取り残されるのか。タイタニックに乗り遅れるのは結構なことだ。
そういう汚濁の中に、自分たちが呼吸する時代がどんな時代であるのか、びしっと見据えた意見もあります。
そしてTPPで騒ぐマスコミが知らん振りをしているのは、ピークオイルの問題である。
国 際エネルギー機関はこの2010年11月に、「世界の原油生産は2006年にピーク(増産の限界点)を越したと見られる」と発表した。もう経済成長はあり えないのだ。今後は原油生産の低減で、工業経済はガス欠状態に陥り、徐々に収縮していくだろう。貿易を支える海運も、燃料の高騰で採算がきつくなる。ピー クオイルの厳然たる事実は、今世紀はエネルギーと食料の危機の世紀であること、そして人類の未来は長期的には農業中心の地域共同体にあることを示してい る。
この危機は、中国などですでに表面化してきている。TPPどころではない。われわれは手遅れにならないうちに、文明の転換のための作業を始め なければならない。・・・そうした方向転換を中央の政府には期待しない方がいい。おそらくそうした転換は地方の、地域の人々の草の根の動きとして始まり、 それが自治体を動かし、自治体が国を突き上げる形で始まるだろう。そこに日本の未来があることを、私は確信している。
これは農文協が年末に緊急出版したTPP反対の大義に収録される関曠野の文章です。これまでに言及しているように、これからも今のように石油をじゃぶじゃぶと使う暮らしを続けていけるのか、今のような世界貿易を続けていけるのか。そこまで踏み込んでTPPのようなことも、判断しなければなりません。
もうひとつ、TPP推進派は気にもかけないのか、あまり口にしませんが、以前ここでも言及した食品安全近代化法は1月4日に大統領が署名し、発効しました。
TPPに加盟すれば、日本の食品についても同様の基準が要求されるようになるのでしょうか。数年前に言及したNAISなんてのも導入しなければならなくなるかもしれません。
上で紹介した文章で、関はこうも言います。
「TPPに参加しないと日本は国際的に取り残される」と言う。
何から取り残されるのか。タイタニックに乗り遅れるのは結構なことだ。
銛/Like a harpoon in my heart.
その後、南氷洋で何が起きているのか、シーシェパードからもゲーケンからも発表がなく、(チョーサ捕鯨を金銭的に支援する)納税者は蚊帳の外なのですが、もうチョーサ捕鯨はやめよう、そのかわり日本近海で商業捕鯨を再開しようという記事が出ています。
日本の調査捕鯨の続行については、検討すべき時期だろう。残念ながら調査データに対する欧米の評価は低く、商業捕鯨の隠(かく)れ蓑(みの)と考えられて いる。また、捕獲した鯨肉は市場に持ち込まれるが、在庫が多いようだ。そろそろ調査捕鯨から撤退し、正々堂々と沿岸の商業捕鯨を再開すべき時期ではない か。国民が真に鯨肉を必要とするならば、国際批判にも耐えるだろう。ノルウェーは、国際捕鯨委員会に異議を申し立て、商業捕鯨を続けているのだ。むしろ商業捕鯨によって、クジラの需給を市場原理に任せれば、適正価格で鯨肉が売買されるとともに、調査捕鯨より捕獲数は減り、資源の保全につながる。沿岸捕鯨 は、日本の伝統である。南極海ではなく、地の利のある日本沿岸で、SSと戦うのである。
筆者は山田吉彦東海大教授です。まあ、いろいろ物議をかもす人物だそうで、引用した部分でも「地の利のある日本沿岸でSSと戦う」だとか、引用しなかったところも結構ハチャメチャです。アディ・ギル号と昭南丸の衝突を「自沈」と表現しているのは特にいただけません。
しかし、まあ、こういう人ですらもすでにチョーサ捕鯨は割にあわないと言っている、しかも掲載メディアが(愛国的な)産經新聞であることを考えると、チョーサを言い張るゲーケンや水産庁もこれから風当たりが強くなるのではないでしょうか。
Tuesday, January 18, 2011
ゴジラが出た/Harpoon fever
「ゴジラ」が出た。1月17日付けの朝日新聞です。
何事かと思えば16日に行われた大学入試センターの試験の日本史の問題で「ゴジラ」のポスターが出て、それに絡みで問題が出たということですね。まあ、それが受験生を悩ましたということでニュースになるのでしょうね。
南氷洋では別の「ゴジラ」が別の日本人を悩ませています。悩まされているのは日の丸「調査」捕鯨船団です(「調査」とかっこに入れるのはもちろん、こんなものは「調査」ではないという意味です。それが世界の常識です。捕鯨船団もその辺りを理解しているのか、船にはでっかくわざとらしく英語でRESEARCHと書いています)。
(ABCより転載)
南氷洋で暴れまわる「ゴジラ」は反捕鯨船団体、シーシェパードが昨年南氷洋で沈没した高速船アディ・ギル号に代わり、「妥協のない作戦」と呼ぶ今年の南氷洋反捕鯨戦線に投入した新鋭高速艦です。この船をローマ字式でgojiraと名付けたのは西オーストラリア州フリーマントルの市長のブラッド・ペティットです。シーシェパードの船団に加わるはじめてのオーストラリア船籍の船です。
(サンローレル号に急迫するゴジラ。シーシェパードのサイトより転載)
このゴジラが12日午後、、南緯62度43分西経178度33分の地点で、補給/給油船のパナマ船籍、サンローレル号を捕捉、シーシェパードによれば、「日本の捕鯨団に給油するつもりか」と訪ねたところ「たぶん」という返事が返ってきたそうです。
この知らせにシーシェパードの旗艦スティーヴ・アーウィン号とボブ・バーカー号が現場に急行します。その2隻と追いつ追われつつしていた勇新丸2号と勇新丸3号がこれに続きます。
日本の捕鯨船団は本格的な「調査」捕鯨に入る前にシーシェパードに居所を探知されて、すべてが後手に回っている感がありますが、燃料補給船を抑えられてしまい、どんどん状況が厳しくなっています。
シーシェパードの発表によれば、今年のはじめに見つかって以来捕鯨船団はほとんど仕事になっていないのではないかということです。
14日付けのシーシェパードの発表によれば、サンローレル号は南緯60度以南の南極海にいたため、南極海での給油など、汚染の原因になりそうな活動を禁止する南極条約に違反するとゴジラの艦長から警告され、サンローレル号の艦長はそれに従い、北に移動しています。
(サンローレル号を「護衛」するシーシェパードの船団。シーシェパードのサイトより転載)
それを監視する目的でスティーヴ・アーウィン号とボブ・バーカー号がサンローレル号に続いています。そしてそのあとを勇新丸2号と勇新丸と3号が追っています。シーシェパードによれば、12月4日に館山港を出港したとされるサンローレル号はまだまったく捕鯨船団に給油をしていないということです。兵糧断ちにすれば捕鯨はできなくなるという目論見で、シーシェパードはサンローレル号を徹底的に監視する作戦に入っています。もし、それでも燃料補給をしようとすれば、徹底的に間に入りの際、邪魔をする作戦でしょう。
かつてグリーンピースがゴムボートで燃料補給を阻止しようと間に入ろうとしたことがあります。その時、捕鯨船団は相手側が死んでもかまわないような危険なことまでやったんで、今回もしそのような事態になれば、犠牲者が出るかもしれません。
サンローレル号にシーシェパードが全力をそそいでいるおかげで、監視を逃れた勇新丸2号の銛でクジラがどんどん殺されていることは想像に難くありません。日新丸の巨大な船倉で解体作業が進んでいることで、シーシェパードのワトソン代表は歯ぎしりしているかもしれません。こういう事態になりかねないと、シーシェパードは、グリーンピースに同団体が保有する船の参加を呼びかけています。作戦や主義主張で違いがあるかもしれないが、もう一隻、船があれば、捕鯨船団を完璧に追いつめることができる、今年クジラを守るための最大のチャンスだ、小異を捨て大同につこう。自分たちと連絡を取り合う必要はない、南氷洋にその姿を表してくれるだけでいい。あと一隻、こちら側に船があれば、日本側の捕鯨を押さえ込むことができる。と呼びかけているのですが、グリーンピースからはこれまでのところ、なしのつぶて。まったく反応がありません。
もしかすると、サンローレル号はシーシェパードを日新丸から切り離すためのおとりであり、もう一隻、別な補給船が隠れている可能性もあります。「仕分け」を巧みに逃れ、予算がある鯨研だけにあり得ないことではないかもしれません。
シーシェパードの情報によると、15日には、補給船が追っ手を振り切ろうとするかのように嵐に突っ込んでいったそうです。タンカー、しかも積み荷でいっぱいのタンカーが荒い海へ突っ込んでいくってのは自殺行為というか、普通では考えられないことのようです。船体がぽきっと折れて重油がドブドブと海に流れてもへっちゃら、環境への配慮なんか二の次なのでしょうか。
南氷洋を無尽に駆ける「ゴジラ」、サンローレル号(と「護衛」のスティーヴ・アーウィン号とボブ・バーカー号、そしてその尻を追いかける勇新丸と3号)を離れ、現在は日新丸の探索に出撃しています。これからも捕鯨船団を悩ましそうです。まあ、あんまり暴れ過ぎると、去年のアディ・ギル号のように真っ二つにされちゃうかもしれないので、気をつけた方がいいかもしれません。
何事かと思えば16日に行われた大学入試センターの試験の日本史の問題で「ゴジラ」のポスターが出て、それに絡みで問題が出たということですね。まあ、それが受験生を悩ましたということでニュースになるのでしょうね。
南氷洋では別の「ゴジラ」が別の日本人を悩ませています。悩まされているのは日の丸「調査」捕鯨船団です(「調査」とかっこに入れるのはもちろん、こんなものは「調査」ではないという意味です。それが世界の常識です。捕鯨船団もその辺りを理解しているのか、船にはでっかくわざとらしく英語でRESEARCHと書いています)。
(ABCより転載)
南氷洋で暴れまわる「ゴジラ」は反捕鯨船団体、シーシェパードが昨年南氷洋で沈没した高速船アディ・ギル号に代わり、「妥協のない作戦」と呼ぶ今年の南氷洋反捕鯨戦線に投入した新鋭高速艦です。この船をローマ字式でgojiraと名付けたのは西オーストラリア州フリーマントルの市長のブラッド・ペティットです。シーシェパードの船団に加わるはじめてのオーストラリア船籍の船です。
(サンローレル号に急迫するゴジラ。シーシェパードのサイトより転載)
このゴジラが12日午後、、南緯62度43分西経178度33分の地点で、補給/給油船のパナマ船籍、サンローレル号を捕捉、シーシェパードによれば、「日本の捕鯨団に給油するつもりか」と訪ねたところ「たぶん」という返事が返ってきたそうです。
この知らせにシーシェパードの旗艦スティーヴ・アーウィン号とボブ・バーカー号が現場に急行します。その2隻と追いつ追われつつしていた勇新丸2号と勇新丸3号がこれに続きます。
日本の捕鯨船団は本格的な「調査」捕鯨に入る前にシーシェパードに居所を探知されて、すべてが後手に回っている感がありますが、燃料補給船を抑えられてしまい、どんどん状況が厳しくなっています。
シーシェパードの発表によれば、今年のはじめに見つかって以来捕鯨船団はほとんど仕事になっていないのではないかということです。
14日付けのシーシェパードの発表によれば、サンローレル号は南緯60度以南の南極海にいたため、南極海での給油など、汚染の原因になりそうな活動を禁止する南極条約に違反するとゴジラの艦長から警告され、サンローレル号の艦長はそれに従い、北に移動しています。
(サンローレル号を「護衛」するシーシェパードの船団。シーシェパードのサイトより転載)
それを監視する目的でスティーヴ・アーウィン号とボブ・バーカー号がサンローレル号に続いています。そしてそのあとを勇新丸2号と勇新丸と3号が追っています。シーシェパードによれば、12月4日に館山港を出港したとされるサンローレル号はまだまったく捕鯨船団に給油をしていないということです。兵糧断ちにすれば捕鯨はできなくなるという目論見で、シーシェパードはサンローレル号を徹底的に監視する作戦に入っています。もし、それでも燃料補給をしようとすれば、徹底的に間に入りの際、邪魔をする作戦でしょう。
かつてグリーンピースがゴムボートで燃料補給を阻止しようと間に入ろうとしたことがあります。その時、捕鯨船団は相手側が死んでもかまわないような危険なことまでやったんで、今回もしそのような事態になれば、犠牲者が出るかもしれません。
サンローレル号にシーシェパードが全力をそそいでいるおかげで、監視を逃れた勇新丸2号の銛でクジラがどんどん殺されていることは想像に難くありません。日新丸の巨大な船倉で解体作業が進んでいることで、シーシェパードのワトソン代表は歯ぎしりしているかもしれません。こういう事態になりかねないと、シーシェパードは、グリーンピースに同団体が保有する船の参加を呼びかけています。作戦や主義主張で違いがあるかもしれないが、もう一隻、船があれば、捕鯨船団を完璧に追いつめることができる、今年クジラを守るための最大のチャンスだ、小異を捨て大同につこう。自分たちと連絡を取り合う必要はない、南氷洋にその姿を表してくれるだけでいい。あと一隻、こちら側に船があれば、日本側の捕鯨を押さえ込むことができる。と呼びかけているのですが、グリーンピースからはこれまでのところ、なしのつぶて。まったく反応がありません。
もしかすると、サンローレル号はシーシェパードを日新丸から切り離すためのおとりであり、もう一隻、別な補給船が隠れている可能性もあります。「仕分け」を巧みに逃れ、予算がある鯨研だけにあり得ないことではないかもしれません。
シーシェパードの情報によると、15日には、補給船が追っ手を振り切ろうとするかのように嵐に突っ込んでいったそうです。タンカー、しかも積み荷でいっぱいのタンカーが荒い海へ突っ込んでいくってのは自殺行為というか、普通では考えられないことのようです。船体がぽきっと折れて重油がドブドブと海に流れてもへっちゃら、環境への配慮なんか二の次なのでしょうか。
南氷洋を無尽に駆ける「ゴジラ」、サンローレル号(と「護衛」のスティーヴ・アーウィン号とボブ・バーカー号、そしてその尻を追いかける勇新丸と3号)を離れ、現在は日新丸の探索に出撃しています。これからも捕鯨船団を悩ましそうです。まあ、あんまり暴れ過ぎると、去年のアディ・ギル号のように真っ二つにされちゃうかもしれないので、気をつけた方がいいかもしれません。
Thursday, January 13, 2011
「ノアの方舟級」大洪水/Water water everywhere.
「ノアの洪水なみ」と称されるほどの大洪水がクイーンズランドやニューサウスウエールズ州を襲っています。クイーンズランド州の州都、ブリスベンは洪水が押し寄せたため、昨日は市内のオフィスから労働者が避難したそうです。ブリスベンは満潮とダムからの放水が重なり市内を流れるブリスベン川の水位が3メートル以上も上昇する見込みで、今夜から木曜にかけて、「壊滅的」な事態になるという警報が出ており、2万の家庭に避難勧告が出されています。クイーンズランド州の3/4が被災地帯に指定され、確認された死者の数はすでに10人を数え、90人が行方不明とのこと。
各地で道路が寸断され、通行止めになり、何百人もの観光客が足止めを食っているいるそうで、観光が売り物のこの辺りにとっては大きな問題です。しかし、もっと心配なのは食料など必需品の供給や、病人や怪我人などの取り扱いです。道路とクルマが頼りなところがほとんどなので、それが使えなくなると、本物の死活問題です。
いくつかのビデオを見ると、町の真ん中を川が流れる映像があったり、メインストリートに停車した車が押し流されていったり、小さな川があっという間に水かさが増し、車を何台も次から次へと飲み込んでいきます。家も土台から根こそぎ持ち上げられ、流れていきます。洪水に襲われた町はまるで巨大な台風か津波が通り過ぎたかのようで、自然の凄まじさをあらためて思い知らされます。この3週間で5度目の洪水に襲われている町もあります。このままいけば、州の歴史で最悪の自然災害だった1974年の大洪水(14人死亡、6000件のうちが冠水)の再来、どころかそれを上回るのではないか、いやこの国がはじまって以来の大洪水だという表現も出ています。
トゥワンバを襲う洪水のビデオ
ニュースビデオ
最新のニュースビデオ
最新のニュースや写真、ビデオ(ジ・エイジ紙)
先日報告した砂糖価格の高騰は、サトウキビの大生産地帯であるこの辺が大洪水に見舞われているということもそのひとつの理由だという指摘がありました。もっともなことで、人間の生存がかかっているという時に、金の勘定なんて二の次になってしまいます。こんな場所から食料を買えることをあてにした「自由貿易」体制というものは、たぶん、信じられないくらいもろいものではないでしょうか。
何ヶ月前までは旱魃に喘いでいた場所に大洪水。地球環境がゲテモノ化しているのは間違いないでしょう。何年か前にこの大陸をあとにしたのも、こういうトンデモな異常気象がどんどん凄まじさを増していく、どんどん頻発化するだろう、とても住んでいられないという予測に基づくものでした。だから、それ見たことかって面することはできますが、とても対岸の火事ではありません。被災地の中には訪ねたことのある町もあれば、通り過ぎただけの町、名前を聞いたことしかない町もあります。それぞれの場所で自然の猛威にさらされる人たちの姿を見ると、とても他人事とは思えず、涙が出てきてしまいます。自分の暮らしているところで起こってもおかしくない、それが地球環境のゲテモノ化なのであり、たまたまオーストラリアはその影響がどっちゃリ、たっぷり出てくるに過ぎないのです。いやはや、大陸はものすごいことになっています。
p.s.
大陸の東岸は「ノアの方舟級」大洪水かと思えば、大陸の西側、西オーストラリア州、州都のパースの南では巨大な山火事が発生し、何軒かの家や小屋が焼け落ち、現在150人ほどが避難したそうです。放火だといわれていますが、火が瞬く間に広がるほど乾燥している、山火事にうってつけの条件であることが前提にあります。
各地で道路が寸断され、通行止めになり、何百人もの観光客が足止めを食っているいるそうで、観光が売り物のこの辺りにとっては大きな問題です。しかし、もっと心配なのは食料など必需品の供給や、病人や怪我人などの取り扱いです。道路とクルマが頼りなところがほとんどなので、それが使えなくなると、本物の死活問題です。
いくつかのビデオを見ると、町の真ん中を川が流れる映像があったり、メインストリートに停車した車が押し流されていったり、小さな川があっという間に水かさが増し、車を何台も次から次へと飲み込んでいきます。家も土台から根こそぎ持ち上げられ、流れていきます。洪水に襲われた町はまるで巨大な台風か津波が通り過ぎたかのようで、自然の凄まじさをあらためて思い知らされます。この3週間で5度目の洪水に襲われている町もあります。このままいけば、州の歴史で最悪の自然災害だった1974年の大洪水(14人死亡、6000件のうちが冠水)の再来、どころかそれを上回るのではないか、いやこの国がはじまって以来の大洪水だという表現も出ています。
トゥワンバを襲う洪水のビデオ
ニュースビデオ
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最新のニュースや写真、ビデオ(ジ・エイジ紙)
先日報告した砂糖価格の高騰は、サトウキビの大生産地帯であるこの辺が大洪水に見舞われているということもそのひとつの理由だという指摘がありました。もっともなことで、人間の生存がかかっているという時に、金の勘定なんて二の次になってしまいます。こんな場所から食料を買えることをあてにした「自由貿易」体制というものは、たぶん、信じられないくらいもろいものではないでしょうか。
何ヶ月前までは旱魃に喘いでいた場所に大洪水。地球環境がゲテモノ化しているのは間違いないでしょう。何年か前にこの大陸をあとにしたのも、こういうトンデモな異常気象がどんどん凄まじさを増していく、どんどん頻発化するだろう、とても住んでいられないという予測に基づくものでした。だから、それ見たことかって面することはできますが、とても対岸の火事ではありません。被災地の中には訪ねたことのある町もあれば、通り過ぎただけの町、名前を聞いたことしかない町もあります。それぞれの場所で自然の猛威にさらされる人たちの姿を見ると、とても他人事とは思えず、涙が出てきてしまいます。自分の暮らしているところで起こってもおかしくない、それが地球環境のゲテモノ化なのであり、たまたまオーストラリアはその影響がどっちゃリ、たっぷり出てくるに過ぎないのです。いやはや、大陸はものすごいことになっています。
p.s.
大陸の東岸は「ノアの方舟級」大洪水かと思えば、大陸の西側、西オーストラリア州、州都のパースの南では巨大な山火事が発生し、何軒かの家や小屋が焼け落ち、現在150人ほどが避難したそうです。放火だといわれていますが、火が瞬く間に広がるほど乾燥している、山火事にうってつけの条件であることが前提にあります。
Saturday, January 08, 2011
2008年の再来か?/Will history repeat itself?
卯年が明けて、今年もよろしく。今年もいろいろあれこれ考えていこうと思ってますのでおつきあいください。
さて、正月になるとメディアには今年の予測が並びます。景気はどうなるのか、政治はどうなるのか。これからの12ヶ月はどんなことになるのか、そういった予想やら予測、観測がメディアに並びます。たいていの場合はワイドショー的であり、箸にも棒にもかからない憶測であり、表層をなでるばかりです。経済を牛耳るエネルギーがどうなるだとか、人間の生存に欠かせない食料はどうなっていくのか。人間が知らなけりゃならないことはほとんど語られません(例外は英フィナンシャル・タイムズで、「勢いを増すコモディティー高騰穀物、鉄鉱石、石油の高騰で景気回復の腰折れも」という記事を12日31日付けで載せています。日本語版はこちら)。
ここ何日かの報道を見るだけでも、今年が2008年の再来になってもおかしくない状況にあることがわかります。
国連食糧農業機関(FAO)が5日発表した最新データによると、2010年12月の食料価格指数は6カ月連続で上昇し、2008年6月の史上最高の213.5を上回る214.7に達したそうです(02~04年を100)。中国などの新興国における食料消費の拡大、そしてロシアの大旱魃、オーストラリアの大洪水など、気候変動の生産への影響が考えられます。しかし、特に価格が大きく跳ね上がっているのは砂糖、トウモロコシ、ナタネ、大豆など’の油料種子、パームオイルなどの食用油です。ここでたびたび指摘してきたように、これら、食用にできる作物(砂糖、菜種、大豆、パームオイル)がアブラの代用として人造石油の生産に使われるようになってきたことも価格を押し上げる要因であることは間違いないでしょう。
FAOの報告で見る限り、とりあえず、今のところ米や小麦などの穀類(2008年6月の最高時に比べ13%低い)、乳製品、肉などの値段はそれほど上昇していません。それが2008年のような食料暴動がまだ起きていない理由です。しかし、この報告を取り上げたブルームバーグの記事の中で、FAO の上級エコノミスト、アブドルレザ・アバシアンは次のように警告しています。
「残念ながら、多くの不透明材料を背景に、穀物価格が上昇する可能性はまだある。南米での収穫で想定外の事態が起きた場合、穀物価格が値上がりする余地は相当ある」
穀物価格があがれば、飼料価格に跳ね返り、乳製品や食肉価格も上昇をまぬがれないでしょう。
エネルギーの数字も2008年の再来があってもおかしくないことを示唆しています。アブラ(すべての液体燃料)の生産/需要は以前も報告した通り、史上最高に達しています。価格の方は1バレル90ドルをうかがう状態が続いています。
IEAの主任エコノミストのファティ・ビロールは1月5日、BBCで放送されたインタビューでアブラの価格は「危険地帯」にはいりつつある。回復の兆しのある経済は原油価格が上昇すれば、ぽきんと腰折れになるだろうと警告しています。
「2008年の高価格は、その後の金融危機を引き起こす主要因ではなかったかもしれないが、貿易収支を悪化させ、ビジネスや家庭の収支を悪化させ、体質を弱め、そこにいたるまで、大きな役割を果たしたことは事実だ。忘れてはならないことは、2008年には$147を記録したが、それは瞬間風速であり、通年平均価格は$90だったということだ。今日、原油価格はそのレベルで推移しており、通年の平均価格ということで見ると、2008年という壊滅的な状況とそう違わないということだ」
前述のフィナンシャルタイムズの記事にはソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、ベロニク・リッシュ・フローレスが引用されています。
「既に長期的な平均値の2倍 に達している(原油の)実質価格は、危険なほど過去の痛覚域に迫っている」
TPPについてもまるで真空状態にいるかのような認識に基づく議論が日本のマスコミを賑わしています。もちろん、2008年が再来するとは限りません。しかし、同じように食料価格が高騰し、原油価格が高騰しても机上の空論を続けていて、大丈夫なんでしょうか。状況は2008年以上にひどくなるかもしれません。
国の舵取りや、会社の経営、地域社会の運営、自分の将来設計には、まず、自分の生存が何に依っているのか理解し、何が必要なのかを考え、それらを取り巻く世界の現状を把握することが欠かせないでしょう。そして、行動は自分の足下から起こすのがベストでしょう。
食料危機については下記などを参照ください。
日本の食糧事情/the end of cheap food.
ご飯、それともクルマ?/Think global, eat local.
食料ピーク2/peak food too.
さて、正月になるとメディアには今年の予測が並びます。景気はどうなるのか、政治はどうなるのか。これからの12ヶ月はどんなことになるのか、そういった予想やら予測、観測がメディアに並びます。たいていの場合はワイドショー的であり、箸にも棒にもかからない憶測であり、表層をなでるばかりです。経済を牛耳るエネルギーがどうなるだとか、人間の生存に欠かせない食料はどうなっていくのか。人間が知らなけりゃならないことはほとんど語られません(例外は英フィナンシャル・タイムズで、「勢いを増すコモディティー高騰穀物、鉄鉱石、石油の高騰で景気回復の腰折れも」という記事を12日31日付けで載せています。日本語版はこちら)。
ここ何日かの報道を見るだけでも、今年が2008年の再来になってもおかしくない状況にあることがわかります。
国連食糧農業機関(FAO)が5日発表した最新データによると、2010年12月の食料価格指数は6カ月連続で上昇し、2008年6月の史上最高の213.5を上回る214.7に達したそうです(02~04年を100)。中国などの新興国における食料消費の拡大、そしてロシアの大旱魃、オーストラリアの大洪水など、気候変動の生産への影響が考えられます。しかし、特に価格が大きく跳ね上がっているのは砂糖、トウモロコシ、ナタネ、大豆など’の油料種子、パームオイルなどの食用油です。ここでたびたび指摘してきたように、これら、食用にできる作物(砂糖、菜種、大豆、パームオイル)がアブラの代用として人造石油の生産に使われるようになってきたことも価格を押し上げる要因であることは間違いないでしょう。
FAOの報告で見る限り、とりあえず、今のところ米や小麦などの穀類(2008年6月の最高時に比べ13%低い)、乳製品、肉などの値段はそれほど上昇していません。それが2008年のような食料暴動がまだ起きていない理由です。しかし、この報告を取り上げたブルームバーグの記事の中で、FAO の上級エコノミスト、アブドルレザ・アバシアンは次のように警告しています。
「残念ながら、多くの不透明材料を背景に、穀物価格が上昇する可能性はまだある。南米での収穫で想定外の事態が起きた場合、穀物価格が値上がりする余地は相当ある」
穀物価格があがれば、飼料価格に跳ね返り、乳製品や食肉価格も上昇をまぬがれないでしょう。
エネルギーの数字も2008年の再来があってもおかしくないことを示唆しています。アブラ(すべての液体燃料)の生産/需要は以前も報告した通り、史上最高に達しています。価格の方は1バレル90ドルをうかがう状態が続いています。
IEAの主任エコノミストのファティ・ビロールは1月5日、BBCで放送されたインタビューでアブラの価格は「危険地帯」にはいりつつある。回復の兆しのある経済は原油価格が上昇すれば、ぽきんと腰折れになるだろうと警告しています。
「2008年の高価格は、その後の金融危機を引き起こす主要因ではなかったかもしれないが、貿易収支を悪化させ、ビジネスや家庭の収支を悪化させ、体質を弱め、そこにいたるまで、大きな役割を果たしたことは事実だ。忘れてはならないことは、2008年には$147を記録したが、それは瞬間風速であり、通年平均価格は$90だったということだ。今日、原油価格はそのレベルで推移しており、通年の平均価格ということで見ると、2008年という壊滅的な状況とそう違わないということだ」
前述のフィナンシャルタイムズの記事にはソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、ベロニク・リッシュ・フローレスが引用されています。
「既に長期的な平均値の2倍 に達している(原油の)実質価格は、危険なほど過去の痛覚域に迫っている」
TPPについてもまるで真空状態にいるかのような認識に基づく議論が日本のマスコミを賑わしています。もちろん、2008年が再来するとは限りません。しかし、同じように食料価格が高騰し、原油価格が高騰しても机上の空論を続けていて、大丈夫なんでしょうか。状況は2008年以上にひどくなるかもしれません。
国の舵取りや、会社の経営、地域社会の運営、自分の将来設計には、まず、自分の生存が何に依っているのか理解し、何が必要なのかを考え、それらを取り巻く世界の現状を把握することが欠かせないでしょう。そして、行動は自分の足下から起こすのがベストでしょう。
食料危機については下記などを参照ください。
日本の食糧事情/the end of cheap food.
ご飯、それともクルマ?/Think global, eat local.
食料ピーク2/peak food too.
Saturday, January 01, 2011
クルーグマンの有限な世界/What a finite world!
年の瀬になり、今年一年を懐古し、来年の予測をする記事があちこちで見かけます。
エネルギーという視点から振り返ると、今年はこれまで以上にオイルピークを認める人が出てきた年と総括することができるでしょう。しんがりはポール・クルーグマンです。クルーグマンは2008年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者ですが、12月27日付けのニューヨークタイムズでピークに言及しています。
2007-2008年と同じように、今日の商品価格の上昇は米国の需要増がもたらすものではなく、中国をはじめとする新興経済国からの需要増である。 かつて貧しかった国でたくさんの人が車に乗るようになったり、肉を食べるようになり、グローバルな中産階級を形成しつつある。それが世界の石油と食糧供給に圧力をかけている。
問題は、供給が需要に追いつかないことだ。在来型の石油生産量はこの4年間頭打ち状態にある。ある意味で、少なくとも、 オイルピークがやってきた。もちろん、カナダのタールサンドのような代替エネルギーからの石油生産が増えることは間違いない。しかし、これらの代替エネルギー源はカネの面でも環境負荷という点でもかなり高くつく。
また、この一年間、大農業地帯のなかには酷暑や干ばつなど極端な天候に襲われた場所が少なくなく、それが食品価格の高騰に大きな役割を果たした。これらの異常気象が気候変動のもたらすものだとを信じるに足る理由はいくらでもある。
商品価格の最近の上昇はどんな影響をもたらすのだろうか。
すでに述べたように、人間は有限な世界に暮らしている。商品価格の上昇は、有限な資源の制約がどんどん現実化することを示す兆候である。だからといって、それが経済成長に終止符を打つとは限らず、マッド・マックス的な社会崩壊に落ちていくこともないだろう。人間は自分たちの生き方を徐々に変えていかなければならず、資源は高いものであるという現実に沿うように経済や暮らし方を変えていくことが必要になる。
クルーグマンはピークと気候変動がもたらす相乗効果について言及しておらず、影響や対策についても疑問なところがあります。しかし、まあ、とりあえず、ノーベル賞をとるような経済学者もピークを認めるところまできた、無視できなくなったということは2010年が大きな転換期であるということを象徴しているような気がします。
エネルギーという視点から振り返ると、今年はこれまで以上にオイルピークを認める人が出てきた年と総括することができるでしょう。しんがりはポール・クルーグマンです。クルーグマンは2008年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者ですが、12月27日付けのニューヨークタイムズでピークに言及しています。
2007-2008年と同じように、今日の商品価格の上昇は米国の需要増がもたらすものではなく、中国をはじめとする新興経済国からの需要増である。 かつて貧しかった国でたくさんの人が車に乗るようになったり、肉を食べるようになり、グローバルな中産階級を形成しつつある。それが世界の石油と食糧供給に圧力をかけている。
問題は、供給が需要に追いつかないことだ。在来型の石油生産量はこの4年間頭打ち状態にある。ある意味で、少なくとも、 オイルピークがやってきた。もちろん、カナダのタールサンドのような代替エネルギーからの石油生産が増えることは間違いない。しかし、これらの代替エネルギー源はカネの面でも環境負荷という点でもかなり高くつく。
また、この一年間、大農業地帯のなかには酷暑や干ばつなど極端な天候に襲われた場所が少なくなく、それが食品価格の高騰に大きな役割を果たした。これらの異常気象が気候変動のもたらすものだとを信じるに足る理由はいくらでもある。
商品価格の最近の上昇はどんな影響をもたらすのだろうか。
すでに述べたように、人間は有限な世界に暮らしている。商品価格の上昇は、有限な資源の制約がどんどん現実化することを示す兆候である。だからといって、それが経済成長に終止符を打つとは限らず、マッド・マックス的な社会崩壊に落ちていくこともないだろう。人間は自分たちの生き方を徐々に変えていかなければならず、資源は高いものであるという現実に沿うように経済や暮らし方を変えていくことが必要になる。
クルーグマンはピークと気候変動がもたらす相乗効果について言及しておらず、影響や対策についても疑問なところがあります。しかし、まあ、とりあえず、ノーベル賞をとるような経済学者もピークを認めるところまできた、無視できなくなったということは2010年が大きな転換期であるということを象徴しているような気がします。
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