Friday, December 02, 2005

Crude designs

イラクへの「有志連合軍」による侵略は当初から、世界二位の埋蔵量を持つ(推定1150億バレル)とされる石油資源の支配が目的だと指摘されてきた。「有志連合」政府、特にブッシュ政権はそれらを陰謀説のたまものだと一蹴してきたが、11月23日にロンドンで発表された「crude designs(原油狙いの乱暴な計画)」は、1972年の国有化で追い出されいたBP、エクソン、シェブロン、シェルの石油メジャーが着々とイラク石油支配に着手する様子が具体的に示している。

48ページからなる報告書を製作したのはPlatformやWar on Want(貧困との戦争) New Economics Foundation(新経済財団)などの市民団体。

イラクでは新憲法に基づいて12月に国民議会選挙が予定されており、その後に石油資源開発を決めることになっているが、政府は選挙が行われる前から、法案が可決される前から、石油会社との契約交渉をすでに始めている、と報告書は指摘している。

報告書によれば、メジャーはイラク政府と生産物分与協定(PSA)を交渉しており、これが締結されれば、メジャーはインフラや採掘など、初期の設備投資を行い、その見返りとして生産された原油の割合を受け取ることになる。通常のPSA協定では投資に対する平均利益率は12パーセント前後だが、メジャーはなんと42~162パーセントを要求しているそうだ。契約期間も異様に長期であり、これから40年間にメジャーがイラクから搾り取る額は1270億ドルから1940億ドルにも上ると推定されている。

イラク政府は将来の生産を担保に融資を受け、自前で石油開発をすることもできるし、たとえ、メジャーの投資を受けるにしても、契約時期を短くしたり、もっとまっとうな利益率にすることができるはずだが、こんなやらずぼったくりになるのは米英両政府から圧力があるからだと同報告書は指摘している。

かつての「植民地経営」を思わせるような、こんなえげつない商売をしていたら、イラク国民のあいだに反米英感情が広がるのも無理はない。

crude designsの原文はpdfでダウンロードできる。
http://www.carbonweb.org/crudedesigns.htm

(2/12/5)

No comments: