パーマカルチャー創始者のデビッド・ホルムグレンの「未来のシナリオ」が12月17日,農文協より出版されます。
ホルムグレンは西オーストラリア州の出身で、タスマニアでの学生時代にビル・モリソンと共にパーマカルチャーを生み出しました。現在は,ビクトリア州中部 の自宅で自給的生活を送る一方,パーマカルチャーの講義やデザイン・コンサルタント業で、世界中で活躍しています。
この書でホルムグレンは、現在人類は双子の難問を抱えているという時代認識を示します。それは気候変動とオイルピークです。気候変動についてはそれなりの 理解がある一方、オイルピークについてはその本質が理解されているとはいえません。本書はピーク問題の主要な論点をまとめ,これからの時代がエネルギー下 降の時代であると説きます。日本のようなエネルギー輸入国にとりさらに深刻なのは,輸出国が高騰する原油価格で潤い,自国の需要が増加するため,輸出でき る量が減るという「石油輸出の崩壊」があります。本書はエネルギー下降の速度と気候変動の発症の度合いをふたつの変数とし、その複合作用を4つのシナリオ にまとめ、それぞれの特徴を検討します。今人類の呼吸する時代がどんな時代であるのか解明する本書をぜひ,ご一読ください。
発売日:12月17日
価格:本体1200円(税込1260円)
出版:農文協
お問い合わせ:遠藤隆士
(社)農山漁村文化協会 編集局
〒107-8668 東京都港区赤坂7-6-1
TEL03-3585-1145 FAX03-3585-6466
また、ホルムグレンの二〇〇二年の著作「パーマカルチャー」の邦訳がコモンズより来年早々出版される予定です。30年にわたるパーマカルチャーの実践、教 育活動から抽出された12の原理はこうした時代を賢く生きるための大切な道具になるでしょう。
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海外での原著(Future Scenarios)の書評から抜粋
●ジョン・ポール・フリントフ (タイムズ・オンライン)
〜 文明はいかに、そしていつ崩壊するか〜
簡単に言えばパーマカルチャーとは、自分自身に制御不可能なシステムから自らを切り離し、何らかの形で持続可能な形で自給を達成しようとすることをめざす ものである。今、人類が直面する問題に哲学的で実用的な枠組みをあたえるものである。パーマカルチャーをすでに実感する自分のように人間にとり、ホルムグ レンの言説はとても説得力がある。しかし、この本は予想以上だった。本を読み終わってから数日になるが、いまだに頭蓋骨がガタガタしたままだ。
●マイク・リン(イン・ジーズ・タイムス)
〜未来を再考する〜
この本の大事な点は、これからもこれまでのようになるだろうという思い込みを捨てなければならないと力説するところにある。
●フランク・カミンスキー(エネルギー・ブレティン)
鋭い分析力を持ち、チャートや統計分析の使用に長けるホルムグレンは、シナリオのすべての側面を徹底的に解析する。ホルムグレンはそれぞれのシナリオの社 会的、生態学的、農業、経済的な影響に深く切り込み、最後のまとめと議論の章ではそれらをすべて見事にまとめあげる。
●ジョアンナ・シュローダー(ドメスティック・フュエル)
エネルギーに関する本は問題を解説し、解決法にいくつか言及するだけで、特定の行動のもたらす影響を長期的に掘り下げるものはほとんどない。その点でこの 本 はきわめてユニークだ。オイルピークと気候変動を憂慮し、自分たちのとる行動が将来にもたらす影響について議論するつもりなら、この本を読書リストに加え なくてはならない。
●マイク・グレンビル(トランジション・ネットワーク・ニュース)
気候変動とオイルピークに直面し、これまでとは異なる将来のシナリオを構築しなければならない時、いろいろなオプションを冷静に、深く検討するデビッド・ ホ ルムグレンの「フューチャー・シナリオ」は価値ある一冊だ。
●(ミーン・モア)
世界がとりうるオプションをバランスをとりながら明晰に考慮する「フューチャー・シナリオ」は、今年出版された本の中で、最も重要な本の一冊と見なされる ことだろう。
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