9月は冬の間,毎週週末、ボールの行方に一喜一憂した蹴球のシーズンが決勝リーグに突入し,月末の決勝に向かいどんどんチームが脱落していく季節です。フットボールのシーズン=冬の終わりは、夏のスポーツがぼちぼちと始まる時期でもあります。しばらく聞かなかったクリケットの選手の名前が聞こえ始めるのもこのころ。
冬のスポーツである蹴球、フットボールといえばオーストラリアではすくなくとも4つの球技を差します。ひとつはサッカー。世界的な蹴球で、近年の国際的な人気の高まりで、国内にプロ・リーグ(なぜか安直にAリーグ)もできましたが、なぜか、伝統的な冬ではなく,夏にプレイされます。なので,この蹴球はぼちぼちシーズン開始です。
ラグビー・ユニオンは日本でラグビーとして知られる蹴球。長いあいだ「名誉だけのためにプレイする」アマチュアリズムでやってきましたが、最近になりプロ化。南アフリカやニュージーランドのチームとの対抗戦で人気が上がってきています。そのユニオンから発達したのがラグビー・リーグ。より荒々しいプレイが売り物で、肩の上に直接頭がのっている選手が多いのも特徴ですが、ニュー・サウス・ウエールズやクイーンズランドでは人気があります。
しかし、うちでは蹴球といえばオーストラリア式です。試合に出かけるのはシーズンに1度か2度ですが,自分のチームの試合の日にはチームカラーの黒と白で身を固め,ラジオやテレビの中継に声を張り上げて応援します。アメフト、カナフト,アイフト,世界各地ではいろいろな蹴球が発達しましたが、そのなかでももっとも風変わりなゲームと言われています。色々な蹴球がありますが、楕円形のグランドでプレイされるのはオ式ぐらいなものでしょう。(詳しいルールについては日本オーストラリアンフットボール協会のサイトを参照してください。)
(写真はボールをつかもうと,懸命に手を伸ばすコリンウッド・マグパイズのデイン・スワン。リアルフッティより)
と,まあ、世界標準にはほど遠いローカルでマイナーな蹴球ですが,地元オーストラリアではプレイする人間の数,試合への動員、テレビの視聴率などから、もっとも人気のある蹴球です。冬の間はあちこちのグラウンドで地域のリーグ戦が戦われ,なかには100年以上の伝統を誇るクラブやリーグもあります。まあ,古けりゃ良いというものじゃありませんが、それだけ生活に密着したスポーツであることは間違いありません。親から子,子から孫へと同じチームを応援する,同じチームでプレイするなんて例も。
そしてそれらの頂点に全国的なプロリーグ、オーストラリアン・フットボール・リーグがあります。16チームで争われてきたリーグ戦は今週末で終了,来週からはベスト8による決勝リーグに突入します。ベスト8の顔ぶれは決まったものの,順位はまだまだ流動的、今週末の結果で大きく変化しそうな気配で、昨年の今頃,すでに上位4チームはガチガチだったのに比べると大きな違いです。(順位がどうなるかはこちら)
今シーズンはパースに本拠を置くウェスト・コースト・イーグルスとアデレイドのクロウズの2チームが独走,その勝ちっぷりからしても、この2つがずっと本命とみられてきました。しかしこの2チームも9月を目前に故障者が出たり,調子を落としたり,やや失速気味で、まだまだ予断を許しません。
去年は下から数えて2位、22試合のうち勝ったのは5つだけだった我がチーム,今年は大方の予想に反し,すでにベスト8入りを決めています。観客動員もチームの調子に比例するように,11の主催ゲームの観衆は53万2千人ほど、1試合平均5万人近くが詰めかけました。今週末の試合に2万4千人ほどが詰めかければ,リーグ新記録を達成します。
チームの調子はここへきて2連勝と上昇気流に乗りつつありますが、今週末,勝ってもベスト4は難しく,このポジションから勝ち抜いていくのは並大抵のことではありません。しかし,まあ,昨シーズンの倍以上の勝ち星を挙げたので、はい,まあ,まずまずなシーズンだった。そう思っています。
(写真は空中高く飛翔、マークを狙うコリンウッド・マグパイズの19歳の新人,デイル・トマス。新人王の呼び声も。リアルフッティより)
いや、決勝リーグ戦でひとつ勝てばわからんぞ。9月最後の土曜日、オ式蹴球の殿堂、メルボルン・クリケット・グラウンドで行われる決勝戦にまで進むんじゃないか。なんて心の中では密かに思っています。春の長く影の伸びる夕陽の中,チームソングの歌いおさめができるんじゃないか。なんて。はい,我がチームのファンはみんな楽観的なので。
そうそう、それぞれのチームにはチームソングがあります。チームソングはよく知られた歌のメロディをちょこっと拝借した、とてもポストモダンな歌ばかりです。例えば,セインツは「聖者が街にやってくる」、ドッカーズは「ボルガの舟歌」とまあ,安直な引用が多いのですが。我がチームのチームソングの元歌は19世紀末のボア戦争への志願者を求める歌だそうです。倶楽部ができたころはよく知られた歌だったのでしょうが,現在ではもちろん,元歌よりも我がチームの歌としての方がすっかり有名です。
試合が終わると,勝者の歌がスピーカーから流れ,グラウンドのファンは大声で歌に加わります。試合後のロッカールームでは選手が輪になり,チームソングを歌います。テレビやラジオで観戦していても,歌ってしまいます。
さあ,今年はあと何回,チームソングを歌えることでしょうか。
Carn the Pies!
(2/9/6)
冬のスポーツである蹴球、フットボールといえばオーストラリアではすくなくとも4つの球技を差します。ひとつはサッカー。世界的な蹴球で、近年の国際的な人気の高まりで、国内にプロ・リーグ(なぜか安直にAリーグ)もできましたが、なぜか、伝統的な冬ではなく,夏にプレイされます。なので,この蹴球はぼちぼちシーズン開始です。
ラグビー・ユニオンは日本でラグビーとして知られる蹴球。長いあいだ「名誉だけのためにプレイする」アマチュアリズムでやってきましたが、最近になりプロ化。南アフリカやニュージーランドのチームとの対抗戦で人気が上がってきています。そのユニオンから発達したのがラグビー・リーグ。より荒々しいプレイが売り物で、肩の上に直接頭がのっている選手が多いのも特徴ですが、ニュー・サウス・ウエールズやクイーンズランドでは人気があります。
しかし、うちでは蹴球といえばオーストラリア式です。試合に出かけるのはシーズンに1度か2度ですが,自分のチームの試合の日にはチームカラーの黒と白で身を固め,ラジオやテレビの中継に声を張り上げて応援します。アメフト、カナフト,アイフト,世界各地ではいろいろな蹴球が発達しましたが、そのなかでももっとも風変わりなゲームと言われています。色々な蹴球がありますが、楕円形のグランドでプレイされるのはオ式ぐらいなものでしょう。(詳しいルールについては日本オーストラリアンフットボール協会のサイトを参照してください。)
(写真はボールをつかもうと,懸命に手を伸ばすコリンウッド・マグパイズのデイン・スワン。リアルフッティより)
と,まあ、世界標準にはほど遠いローカルでマイナーな蹴球ですが,地元オーストラリアではプレイする人間の数,試合への動員、テレビの視聴率などから、もっとも人気のある蹴球です。冬の間はあちこちのグラウンドで地域のリーグ戦が戦われ,なかには100年以上の伝統を誇るクラブやリーグもあります。まあ,古けりゃ良いというものじゃありませんが、それだけ生活に密着したスポーツであることは間違いありません。親から子,子から孫へと同じチームを応援する,同じチームでプレイするなんて例も。
そしてそれらの頂点に全国的なプロリーグ、オーストラリアン・フットボール・リーグがあります。16チームで争われてきたリーグ戦は今週末で終了,来週からはベスト8による決勝リーグに突入します。ベスト8の顔ぶれは決まったものの,順位はまだまだ流動的、今週末の結果で大きく変化しそうな気配で、昨年の今頃,すでに上位4チームはガチガチだったのに比べると大きな違いです。(順位がどうなるかはこちら)
今シーズンはパースに本拠を置くウェスト・コースト・イーグルスとアデレイドのクロウズの2チームが独走,その勝ちっぷりからしても、この2つがずっと本命とみられてきました。しかしこの2チームも9月を目前に故障者が出たり,調子を落としたり,やや失速気味で、まだまだ予断を許しません。
去年は下から数えて2位、22試合のうち勝ったのは5つだけだった我がチーム,今年は大方の予想に反し,すでにベスト8入りを決めています。観客動員もチームの調子に比例するように,11の主催ゲームの観衆は53万2千人ほど、1試合平均5万人近くが詰めかけました。今週末の試合に2万4千人ほどが詰めかければ,リーグ新記録を達成します。
チームの調子はここへきて2連勝と上昇気流に乗りつつありますが、今週末,勝ってもベスト4は難しく,このポジションから勝ち抜いていくのは並大抵のことではありません。しかし,まあ,昨シーズンの倍以上の勝ち星を挙げたので、はい,まあ,まずまずなシーズンだった。そう思っています。
(写真は空中高く飛翔、マークを狙うコリンウッド・マグパイズの19歳の新人,デイル・トマス。新人王の呼び声も。リアルフッティより)
いや、決勝リーグ戦でひとつ勝てばわからんぞ。9月最後の土曜日、オ式蹴球の殿堂、メルボルン・クリケット・グラウンドで行われる決勝戦にまで進むんじゃないか。なんて心の中では密かに思っています。春の長く影の伸びる夕陽の中,チームソングの歌いおさめができるんじゃないか。なんて。はい,我がチームのファンはみんな楽観的なので。
そうそう、それぞれのチームにはチームソングがあります。チームソングはよく知られた歌のメロディをちょこっと拝借した、とてもポストモダンな歌ばかりです。例えば,セインツは「聖者が街にやってくる」、ドッカーズは「ボルガの舟歌」とまあ,安直な引用が多いのですが。我がチームのチームソングの元歌は19世紀末のボア戦争への志願者を求める歌だそうです。倶楽部ができたころはよく知られた歌だったのでしょうが,現在ではもちろん,元歌よりも我がチームの歌としての方がすっかり有名です。
試合が終わると,勝者の歌がスピーカーから流れ,グラウンドのファンは大声で歌に加わります。試合後のロッカールームでは選手が輪になり,チームソングを歌います。テレビやラジオで観戦していても,歌ってしまいます。
さあ,今年はあと何回,チームソングを歌えることでしょうか。
Carn the Pies!
(2/9/6)
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