Friday, January 13, 2006

緑の党、オイル・ピークを政策に/Greens take on Oil Peak


ああ、やっときた。
暑い夏の1日、待ち望むのは南からの涼風だ。涼風前線の動きをレーダーで追いながら、早くこい早くこいって、1日過ごす。ラジオからは前線の動きが刻々と聞こえてくる。30度台半ばまであがった気温も、前線がやってきて涼しい風が吹き込むと、1時間のあいだに10度も下がるんだから、待望する気持ちが分かるだろう。
ああ、やっときた。予定より何時間か遅れたけど、やっときた。

ボブ・ブラウン上院議員率いる緑の党がようやく、オイル・ピークを政策に取り上げたことを知人から知らされた。で、党のサイトを覗いてみると、あるある。

おとなり、ニュー・ジーランドでは緑の党が党首のジャネット・フィッツシモンズを中心に早くからこの問題に取り組んでいて、それもあり、ニュー・ジーランド移住の思いが掻き立てられていたので、ちょっと遅いなあという気もしますが、政府も野党も取り上げていないので、ずっとまし。

たとえば、交通政策について、緑の党は、現在、公共交通の運賃にかかっている消費税の廃止を掲げています。消費税がかからなくなれば運賃は少し安くなるが、いずれは、公共交通の無料化まで検討されなければならないだろうと思う。そのほか、これまで高速道路建築に使われている金を鉄道に回すことなどが掲げられている。オーストラリアのように広大な国では、石油減耗時代には、人間の交通もそうですが、物流が大きな影響を受けるはずです。そういうことを見越して、鉄道輸送網のインフラ整備を急ぐべきです。また、自動車産業に与えられてきた税制の優遇措置を自転車産業の育成に当てる、もしくは自転車交通網の整備に当てることなども課題になるでしょう。社会全体を石油依存から脱出させ、減耗時代に対処させるためには、税金の使い道を賢明に選んでいく、そういうふうな政策の変更が必要になります。

まあ、何でもそうですが、国政レベルがどう動こうが、ピーク問題には個人個人がそれぞれ対処しなければならない部分が大きいと思います。例えば、交通のことでいえば、「今日は渋滞がひどいね、役所はなにやっているんだろう」ってな反応をするドライバーばかりだと渋滞はひどくなるばかりでしょう。自分が「渋滞」の一部であり、自分が「渋滞」を作り出しているということ、そして、自分がクルマを運転しないことで「渋滞緩和」に貢献できるということに気がつかない。やろうとしない。

社会がどこまでクルマ(とそれを走らせるガソリン)中毒になっているかを示す世論調査の結果が最近のエネルギーブレティンに載っています。この調査はアイルランドの首都ダブリンでクルマで通勤する人、622人を対象にした世論調査です。この結果はアイルランド特有というよりも、いわゆる先進国に共通するものだと思います。その調査似よれば、62%はクルマ以外の通勤は難しい。50%は、公共交通がどれだけ改善されてもクルマ通勤をやめる気はないと解答しています。また、価格がどこまであがれば、クルマの使用を止めるかという質問に、29%の人が「ガソリンの値段がどれだけあがってもクルマを止めるつもりはない」と答えています。つまり、強情なのか、無知なのか、自分の行動パターンを変えるつもりはないという人が3割近くいる。しかも、公共交通はヒッピーか、さもなければ脱落者や負け組の使うものだ、そんな意識を持つ人が半分近くいる。こういう大衆の意識は政策の変換に大きなブレーキになるだろう。

オイル・ピーク以後の暮らし方でも新しいテクノロジーがなんとかしてくれる、とか、政府や企業が何とかしてくれるってな調子で、他人任せにするばかりだと、本当の解決にはならないような気がします。社会はひとりひとりの人間が集まったものであり、ひとりひとりが暮らし方を変えれば、本当の社会変化につながります。政府や政党がオイルピークに取り組むこと自体は大歓迎で、日本などでも政党がどんどん積極的に取り組むべきだと思います。しかし、ひとりひとりが石油漬けの暮らしから脱却する覚悟を決め、できるところから自発的に取りかかっていくことも同じように大切で、不可欠なことです。

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