ティッピング・ポイントという言葉があります。あるアイディアが口コミ的な広がりから、伝染病のように社会全体に爆発的に広がる瞬間のことです。
前ワシントン・ポストの経済ライター、マルコム・グラッドウェルが著作『ティッピング・ポイント』のなかで、個々の商品や企業、いろいろな種類のキャンペーン、社会革命にいたるまで、さまざまな社会的事象について、「大化けの瞬間」について考察しています。
温暖化問題への取り組みについて、来週火曜(アメリカ時間)がティッピング・ポイントになるのではないか,そんな観測が流れています。
世界最大の汚染国でありながらアメリカ政府は「京都」批准を拒み、企業の対応もヨーロッパや日本の企業に比べるとかなり遅れています。そのアメリカ企業の取り組みがようやく、変わり始めるのではないかということです。
この日,世界有数の化学メーカーであるデュポン社と保険会社のアリアンツ社が環境への取り組みに関し,それぞれ声明を発表する予定です。
詳細は出てきていませんが,デュポン社は最高経営責任者、チャッド・ホリディが自ら,持続可能な経営まで含め,かなり大掛かりなプログラムを発表するだろうと予想されています(ウエッブキャストはこちら)。これまで,お世辞にも環境に気を配ってきたとは言えない同社ですが、そんな企業まで真剣にならざるを得ない。そこまで事態は深刻化しているということでしょう。果たして,何が飛び出すのでしょうか。
2つ目のアリアンツ社の声明はWWFと協同で行ってきた温暖化のリスクについての報告です。保険業は気候変動に大きく脅かされる業界で,温暖化がひどくなり、自然災害が増加し,破壊力を増していけば,損失支払いはどんどん増加していきます。企業の利益どころか存続さえ脅かされます。ヨーロッパの企業に比べ,かなり怠慢な対応だった米保険業界もようやく,その危機に取り組まざるを得なくなったということでしょう。
将来から眺めた時、ああ,あの時に流れが変わった,そのくらいのポイントに来週の火曜がなるのでしょうか。楽観的にすぎるかもしれませんが,地球人の一人として,大きな転換点になることを祈ります。
1 comment:
そういえば、その日はエネルギー省・農務省共催の再生可能エネルギー会議が始まる日です。DuPontも出てくるはず...
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