アメリカの人口が5%なのに、世界で生産される石油の1/4を消費している、ってことは以前から指摘されている。ブッシュ大統領が一般教書演説で「石油中毒」と表現した状態だ。
中毒者ってのはいろいろ見てきているし、自分でも中毒症状について、少しは経験がある。ヤクやブツを手に入れるためなら、なりふりかまわずになるのが中毒症状。それがもっとも重要なことになる。アメリカの石油(プラス天然ガス)中毒の先兵である米軍が世界一の石油消費者であること、すっかり油漬けであること示す記事が2月26日付けのSohbet Karbuzのブログに載っているので、下記に訳出します。
しかし、米軍もここまで油漬けだと、石油減耗の時代には社会一般同様、おろおろせざるを得ないってことで、オキナワ、中東などで噴出する防衛問題や軍事問題を理解するにもオイルピークという時代背景から読み込む必要があるのではないか、そんな気がします。はい。
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米軍の石油消費
原題:The US military Oil Consumption
by Sohbet Karbuz
(原文)
●国内だけでなく世界中の役所のなかで、もっとも大量の石油を消費するのは米国防省
「軍の燃料消費のおかげで、国防省は国内随一、最大の石油の消費者である」[1]
「航空機、軍艦、軍事車両や軍事施設のおかげで、国防省は国内でもずば抜けた最大の石油消費者だ」[2]
米軍の防衛エネルギー支援センター(DESC)の2004年版ファクトブック(Defense Energy Support Center Fact Book 2004)によれば、2004年度に軍が使用したエネルギーは1億4400万バレルに増加した。これは平時の平均使用量をおよそ4000万バレル上回る。
ところで、1億4400万バレルというのは1日あたりにすると39万5千バレル、つまり、ギリシャのエネルギー消費にほぼ匹敵する。
●米軍は、世界最大の石油の購入者
防衛兵站庁(Defense Logistic Agency)の広報誌、ディメンションズの1999年年鑑版によれば、DESCは「軽油製品の世界最大の購入者です。DESCは35億ドルの年間予算で、毎年、ほぼ1億バレルの石油製品を購入します。これだけあれば1,000台の車が地球を4620周することができます」。
予算は、それから数年のあいだにかなり膨張した。2004年度、国防省がエネルギーの購入に使った金額は82億ドルに上る。
「2005年度に、DESCは85億ドルの予算で、およそ1億2800万バレルの燃料を買う予定です。国防省の購入する石油製品のほぼ70パーセントを占めるのはジェット燃料だ」とG. J.ギルモアは米軍情報サービス(American Forces InformationService News Article)に書いている。[3]
これでもまだ足りないという者もいる。国防次官オフィスからの報告書は次のように述べた。「国防省の石油消費は、国策の中でももっとも優先度の高い事項によるものであり、国防省への燃料供給に対し根本的な制限がつけられるということは、これから何十年も、ありえることではない」[4]
●米軍兵士は、これまで戦場に立ったどんな兵士より高エネルギー消費
「軍の計算によれば、イラクにおける3週間の戦闘で、4000万ガロンの燃料が消費された。それは、第一次世界大戦において連合軍が4年間に消費したガソリンの量に匹敵する」[1]
アトランティック・マンスリー誌2005年5月号の記事で、ロバート・ブライスは比較をもうひとつ挙げている。「パットン将軍指揮下の第三軍は、兵隊がおよそ40万人で、1日あたり、およそ 40万ガロンのガソリンを消費した。今日、ペンタゴンがイラクに展開する兵隊の数はその約1/3だが、1日あたりの燃料消費はその4倍以上にのぼる」。
●米軍の海外における石油消費と世界の石油需要
防衛兵站庁のウェブサイトによると、2005年11月現在で、「不朽の自由作戦」(2001年10月にアフガニスタンで始まる対テロ戦)のために21億ガロン以上の燃料が使われた。
前掲のアトランティック・マンスリー誌の記事で、ロ バート・ブライスは「米軍は、現在イラクで1日につきおよそ170万ガロンの燃料を使っている。150,000人の兵士ひとりひとりが、毎日毎日、およそ9ガロンの燃料を消費していることになる。そして、その数字は上昇中だ」と書いている。つまり、毎日毎日、4万バレルの石油がイラクで米軍によって消費されているということになる。
ちょっと待てよ、この数字にはおかしなところがある。防衛兵站庁のスポークスマン、ラナ・ハンプトンの数字と比較してみよう。米軍情報サービス(AmericanForces Information Service News Article)への寄稿でハンプトンは、アフガニスタン、イラクその他での活動を継続するため、米軍は毎月1000万から1100万バレルの燃料を使用していると書いている。一日あたりに換算すると、33万から
36万バレルということになる。
これは、湾岸戦争において使われた石油の倍以上の量だ。
ランド・コーポレーションの報告によれば、「1990年8月10日から1991年5月31日にかけて行われた砂漠の盾、砂漠の嵐作戦で、米中央軍が消費した燃料は18億8000万ガロンだった」[5]。すなわち4480万バレル、一日あたりに換算すると15万バレルを使ったことになる。砂漠の盾、砂漠の嵐作戦が295日だったことに留意せよ。
さらに、「砂漠の盾、砂漠の嵐作戦の間、バーレーン、エジプト、オマーンとカタールは供給した石油に支払いを求めたが、サウジアラビアとUAEは(15億ガロン)を無償で供給した」と、ランド・コーポレーションの報告書は付け加えている。
サウジアラビアとUAEは、その石油を輸出として処理したのだろうか。米国は輸入として報告したのだろうか。それは、サウジアラビアとUAEでは、国内消費として計算されたのだろうか。それとも米国の消費と勘定されたのだろうか。
残念ながら、それら質問の答えはすべて、いいえ、だ。
それだけの量がたしかに生産されたはずなのに。
国際的な石油統計に関する私の経験からすると、国外に展開する米軍の石油消費は「世界の需要量」の中に消えてしまうようだ。ということは、世界の需要は少なくとも、その分だけ過小に見積もられていることになる。
一日およそ35万バレルの石油がうやむやに見過ごされてしまうことは、重要なことだろうか。
註
[1] Presentation by American Petroleum Institute President and CEO Red
Cavaney held at the USAF/API Awards Banquet ミ Arlington, Virginia, July
15, 2004. See also National Defense Magazine article in 2002.
[2] E. C. Aldbridge and D. M. Etter testimony before the U.S. Senate
Armed Services Committee on June 5, 2001.
[3] American Forces Information Service News Article by G. J. Gilmore,
DoD Has Enough Petroleum Products for Anti-Terror War, August 11, 2005.
The article is posted also on DCmilitary
[4] More Capable Warfighting Through Reduced Fuel Burden, Office of the
Under Secretary of Defense for Acquisition, Technology and Logistics,
The Defense Science Board Task Force on Improving Fuel Efficiency of
Weapons Platforms, January 2001,
[5] J.P. Stucker, J.F. Schank and B. Dombey-Moore, Assessment of DoD
Fuel Standardisation Policies, Rand Corporation, 1994.
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