Thursday, March 30, 2006

メキシコのカントレル油田がピーク/ Cantarell peaks.


オイル・ピークの古典ともいえるマシュー・シモンズの「twlilight in the desert(砂漠の黄昏)」をようやっと、読み終えた。ベールに包まれたサウジアラビアのアブラ事情、それに頼りきっている現代社会の構造を克明に記した内容で、なるほど、アメリカの重役たちが先を競って読んでいるってのも納得。

いますぐ日本でも緊急翻訳出版され、どこの図書館にも一冊ってなぐあいで広く読まれなければならない一冊です。

さてはて。

本から目をあげ、あたりを眺め回すと、世界は今まさにオイル・ピークって徴候があちこちに見えます。世界第二の埋蔵量の油田、クウェートの大ブルガンがどうやらピークに達したってことは以前紹介したが、3月16日付けのKnight Ridder Newspapersによれば、メキシコの大油田、カントレルもどうやらピークに達したようだ。


この油田は、1976年以来、日産百万バレル以上の生産をあげる大油田で、メキシコのアブラの6割を生産してきた。しかし、Knight Ridderが入手したメキシコ国営ぺメックス社の内部資料によれば、2004年の日産213万バレルがピークだったようだ。カントレルは昨年、200万バレル/日産を生産したが、今年は6%減の日産190万バレル、2008年には150万バレル(2000年の生産レベル)にまで落ちるだろうと予測されている。

メキシコは日産330万バレルの産油国で、アメリカにとっては第ニの石油供給国である。カントレルがピークに達した影響は小さくない。単純に、わずか2年後には一日あたり50万バレルいまよりも少ない石油でやりくりしなければならないということになるので、中東のアブラ依存がますます高まることは間違いない。

「困った時の中東頼み」で、世界中で大油田がピークを迎えるなか、中東はその減耗量の肩代わりを期待されている。しかし、中東にアブラは残っているのか。ピーク楽観者やピーク否定者の期待は巨大油田、ガワールを中心とするサウジの生産力であり、埋蔵量だ。逆にいえば、ガワール油田がピークに達すれば、もうすがりつくところはない。マシュー・シモンズはガワールなど、サウジの大油田にもピークの徴候が出始めていることを指摘している。世界はそれを知らされていないだけだ。

私たちはオイル・ピークという歴史的な瞬間を生きている。

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