数日以内には南氷洋に到達し、チョーサ捕鯨を始める予定の日の丸捕鯨船団の前にまたまた強敵が出現した。
シーシェパードの「スティーブ・アーウィン」号が故障し、グリーンピースのエスペランザ号の出発も遅れているが,先月末の選挙で政権の座についたオーストラリアの労働党政権のスミス外相は高精度カメラを備える砕氷船を南氷洋に派遣、日本の捕鯨船団の活動を監視することを発表した。あくまでも監視が目的であり、乗り込む税関の人間は非武装であることをスミス外相は強調している。
オーストラリア政府による監視活動で、日の丸捕鯨船団は、少なくとも、これまでグリーンピースやシーシェパードなど民間の「テロ」団体や「海賊」だけを相手にしていた時のように,誰も見ていないのをいいことに、「密室」で好き勝手なことをして、好き勝手に言い繕うことはできなくなることはまちがいない。
さらにオーストラリアから、やはり今週、南氷洋に生息するミンククジラの頭数を確認する「チーム・ミンキー」が出発した。日の丸政府によれば、ミンククジラは多少収穫したところで絶滅の恐れはないとされている。今期のチョーサ捕鯨でも、935頭のミンククジラ(プラス50頭のナガスクジラ、そしてザトウクジラも50頭)のと殺が予定されている。チーム・ミンキーはオーストラリアの南極基地をベースに低空飛行する飛行機から10人の専門家が数週間かけて、目視で頭数を確認する予定だ。農水省などの主張は船からのチョーサによるもので、その科学的な信憑性はこれまでも疑われてきた。オーストラリア政府は国際司法裁判所への提訴も辞さない構えで,その際には、チーム・ミンキーの集めたデータが秤にかけられる。
ラッド新首相はバリの気候変動サミットで「オーストラリアはクジラの適切な保護に果たさなければならない国際的な義務を重視している」と発言し、税関の巡視船、オセアニック・バイキング号が捕鯨監視活動にまわされるだろうことは今週はじめから、各国のメディアで大々的に報道されていた。
税関のページより
日の丸捕鯨船団は舳先を戻す時間が与えられたにもかかわらず、日本政府や世論はそれを無駄にしてしまい、結局,オーストラリア政府が正式発表したのを受け,カンボー長官が「今後ともこうした調査捕鯨の必要性は外交チャンネルを通じて、説明していきたいと思います」とこれまでの発言を繰り返すにとどまった。
日の丸チョーサ捕鯨推進に固執する農水省の役人や政治家はシーシェパードやグリーンピースを「テロリスト」だとか「海賊」呼ばわりしてきたが、オーストラリアを「テロ国家」と呼ぶのだろうか。
日本の沿海ならともかく,はるばる南氷洋にまででかけ、世界を敵に回してしてまでチョーサする価値があることなのかどうか、もう一度、国民、ひとりひとりが考えなければならない。
2 comments:
山頂2号さん
ぜひとも豪ラッド政権には懲罰として日本向けの石炭輸出禁止にまで踏み込んでもらいたいもんです。
だから突っ張れ日本の水産省・・・なんて人頼みをしてちゃ、いけないでしょうか。
石炭やウランはともかく,ラッド首相の判断を待つまでもなく,すでに旱魃が日本への農作物の輸出を減らしてますねえ。オーストラリア(やアメリカや中国)に食料を依存する日本人はこれからどうやって食っていくのでしょうねえ。
天罰ってやつでしょうか。畏れを知らない人間には天罰が下るものだっていうじゃないですか。
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