カテゴリ−5と強度を増したサイクロン・ヤジが昨夜、クイーンズランド東北部へ上陸しました。
同州ではつい最近も未曾有の水害があったばかりで、かと思えば、数ヶ月前までは何年にもわたる旱魃に苛まれていたわけで、地球環境ゲテモノ化時代に生きていることをますます実感させられます。OECD諸国(いわゆる先進国)の中ではもっとも気候変動の影響を受けやすい国と言われるオーストラリアですが、これからはますます「異常気象」が頻繁になることでしょう。他の国に暮らす自分たちもそれを他人事ととらえず、どこにいようが狭い地球の上、それぞれの場所でも起こりうることだととらえ、行動していかなければならないと思います。なんにしても、自分たちはゲテモノ化時代に生きている、しっかりと立場を認識するところが出発点になります。
入ってくる情報によれば、2人が行方不明だそうです。サイクロンが直撃した地帯はまるで、戦場のようです。しかも、有数の農業地帯だけに農作物への被害が心配です。このABCニュースでも見られるように、バナナやサトウキビが根こそぎにされました。。
昨夜サイクロンの直撃したタリーやイネスフェイルなどの地域では全国のサトウキビの3割が生産されています。生産者団体のケイングロワーズは直撃前に、被害は5億ドルに上るだろうという被害予想を発表しています。オーストラリア経済は鉱山景気で好調には違いありませんが、水害に続くサイクロンの直撃で、成長率は鈍ることでしょう。気象庁はサイクロンの季節はまだ始まったばかりだと更なるサイクロンの襲来に警告を呼びかけています。
サイクロン・ヤジが直撃したこの地域は5年前に大型サイクロン・ラリーの直撃を受けた場所です。このときのサトウキビの損失は4割から5割に上ったそうで、今でも、このときの被害から立ち直っていない農家もいるそうです。バナナは全国生産の8割から9割がこの地域に集中しているため、ラリーの通過したあと、全国で価格が急騰しました。昨夜のサイクロンは「ナパームが炸裂したような感じで、ラリーの10倍もひどい、これまで経験したことのない、ものすごい嵐だった」という地元住民の声もあります。ラリーよりも被害は大きいかもしれません。
ヤジの影響は国内経済だけにとどまりません。砂糖の国際価格は上昇中ですが、これがさらに押し上げられ、しかも、砂糖はいろいろな加工食品に使われるだけに、食物全体の価格も上昇するでしょう。エジプトなど中東北アフリカ諸国(Mena)の社会不安の一因が食糧価格の高騰であるだけに、これらの地域だけではありませんが、玉突き状態で、社会不安が増していくこともあり得ます。
でかいからとはいえ、たかがひとつのサイクロンが何千キロもはなれた国を襲撃した。そのこと自体も現代の地球の発狂具合を表しているとはいえ、その影響がこちら側の生活にもじわじわと及んでくる。それがピークとゲテモノ化時代の切羽詰まった状況を象徴しています。
To get the feel of it, here's the Sadistic Mika Band's classic, from the Black Ship album, the Typhoon song.
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