Thursday, February 24, 2011

リビア情勢分析(2)/More on Lybia.

リビア情勢の流動化が止まらず、原油生産が落ち込み始めている。
それを受け、原油価格が急騰している(ブレントは117ドル、WTIも2008年10月以来はじめて100ドルを超し、102ドルまで上がった)。

ロイターによれば、従業員の退避などにより、アフリカ第3位の原油生産国では約30万から40万バレルの生産が停止。これは生産の約1/4に相当する。この生産停止がさらに拡大するのか、また、どのくらい続くのか、まったく予想がつかない。仮に事態が収拾されたとしても、生産が内乱以前の状態に戻るまでにはかなりの時間がかかるだろう。

1979年のイラン革命では同国の生産の半分以上が止まり、現在に至るまで完全には回復していない。2990年のイラクによるクウェート侵攻では両国の生 産量は数年間にわたり減少、クウェートの油井は荒廃した。2002年のベネズエラの石油産業の大規模ストライキでも生産は滞り、ストライキ以前の水準には 戻っていない。

リビアは主にヨーロッパ向けに1日130万バレルの原油を輸出しているが、主要な輸出国であるイタリア政府筋によれば、輸出港にも混乱が波及し、港湾機能が停止しているようだ。

タイム誌は元CIAの現地要員が書いた記事で、カダフィ大佐に近い筋からの情報として、油田やパイプラインなどの施設を破壊するよう軍の精鋭部隊に命令が出されたと報道している。もっとも、同じ「筋」はチュニジアやエジプトの民衆蜂起がリビアに及ぶことはないと2週間前に語っていたとのこと。それは間違いだったので、この情報もどれほど精度の高いものかは分からないとしている。すでにカダフィはかなりやけになっているようで、分別をなくしている。油田などのインフラの破壊は、自分に反旗を翻す人たちへの復讐の一念からで、リビアをソマリア化してやる、そう言っているそうだ。同じ動機から、イスラム教過激派を監獄から釈放する命令を出したともいわれている。
サウジアラビアのアリ・ヌアイミ石油相はリビアの生産を穴埋めする用意があると発言している。仮に、その言葉通り、リビアの生産はサウジが肩代わりできたにしても、民衆蜂起の波が、生産量ではリビアに次いでOPEC第10位のアルジェリア(日産120万バレル)や第3位のイラン(370万バレル)など、他のOPEC諸国にも広がれば、それは次第に難しくなっていく。
「リビアとアルジェリアが原油生産を呈すれば、原油価格は220ドル超の水準」に達する可能性も示唆されている。2008年の石油ショック以降、上向きつつあった世界経済にもブレーキがかかりそうだ。

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