ナイロビの気候変動枠組条約第2回締約国会議が終わりましたが,オーストラリアは醜態をさらしたようです。
中国や途上国の温暖化ガス排出を槍玉に挙げたイアン・キャンベル「環境」大臣は、一人当たりの排出量では比べ物にならないのを棚に上げて,と総スカンをくらったようです。「京都」を拒否し,「京都以降」を語るハワード政権を、FoEオーストラリアは「気候変動への取り組みを15年間遅らせようとしている」と非難しています。
ちなみに中国は総量では13.8%(世界2位)ですが,個人あたりの二酸化炭素排出量は0.7トン程度。これに比べ,オーストラリアは総量では1.3%(15位)と微々たるものですが,一人当たりになると5トン(4位)。ものすごい量です。
「発展途上国」の「発展」云々より,先進国の人間が「便利で豊かな暮らし」をあらため、これまでの「繁栄」のつけを払うのが先ではないでしょうか。
もっとも,京都に調印していないオーストラリア代表はあくまでもオブザーバー資格だったそうで、キャンベル大臣の話を聞いていた人はまばらだったようです。
つい最近(ルパート・マードックに言われる?)まで、ハワード首相は温暖化を心配する人たちを鼻でせせら笑い、「京都」に加わることを拒否しながら、「京都2」を呼びかけるオーストラリア政府には誰も真剣に耳を傾けるものはいません。
(11月17日付けシドニーモーニングヘラルド紙のひとこま漫画。作者:Alan Moir)
ハワード首相が「経済が大切だ」って言うのも,オーストラリアの発電の8割近くが石炭で,暮らしも経済も石炭に大きく依存しているから。これを削るなんて、よほど勇気がなけりゃ。でも,待てよ,ハワード首相が明日,「京都」を締結しても、オーストラリアは炭素排出を減らさなくてすむじゃない。
森林による吸収分を含めた計算方法を強引にみとめさせたおかげで、一人当たりではものすごい量の炭素を排出しているにも関わらず,オーストラリアは先進国では数少ない,増加(1990年に比べ10%増加)が認められているのだから。
それなのに、「京都」を拒否するのはなぜなのでしょう。政治的な理由でしょうか。同じように「京都」を拒否するアメリカに連帯しているのでしょうか。わかりません。
「京都」は拒み続けるものの,最近になり,ハワード首相は温暖化を渋々認めています。しかし、これは石炭と並ぶもうひとつの外貨獲得鉱産資源,ウランを使う原発導入への布石なのかもしれません。温暖化の対策として原発,と。
政府発注の「原発開発の経済性をめぐる報告書」が明日,発表されますが、たぶん,その中では炭素取引が導入され,石炭が割高になれば,「げ」の字にも経済的な競争力があるってな結論になるのではないかと危惧しています。
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