Tuesday, December 13, 2005

ピーク以後の生き方/what solution?

ビジネス書の配給会社の8CR(800-CEO-READ)は、毎年、アメリカの経営責任者のあいだで読まれるベストセラーのリストをまとめ発表している。アメリカの企業の社長がどんな本を読むかなんて、普段はあまり気にしないが、今年のリストは、ひっかかる。オイル・ピーク関係の本、「Twilight in the Desert: The Coming Saudi Oil Shock and the World Economy(砂漠のたそがれ:迫りくるサウジのオイルショックと世界経済)」が13位に入っているからだ。
http://home.businesswire.com/portal/site/google/index.jsp?ndmViewId=news_view&newsId=20051208005098&newsLang=en

この本の著者、 マシュー・シモンズは世界最大のエネルギー投資銀行であるSimmons & Co. Internationalを1974年に設立し、会長をつとめる投資銀行家で、ブッシュ(父)大統領のエネルギー政策顧問も務めた人間だ。

シモンズはこの本で、世界一の推定埋蔵量を持つと言われ、世界があてにするサウジ・アラビアの埋蔵量が言われているほどではないのではないか、と鋭いメスを入れる。彼は世界がオイル・ピークを迎えるのは2007~2009年だろうと予測している。
http://www.simmonsco-intl.com/

8CRのベストセラーリストは、少なくとも、アメリカのビジネスマンのあいだではオイル・ピークに関して、それなりの常識が形成されつつあるということだろう。

しかし、オイル・ピークを理解する人でも、はてさて、どんな具合に対処したらいいのか。その解決法となると千差万別で、その理解度のほどを暴露してしまうこともある。なにしろ、もともと、ピーク説を唱えたキング・ハバートにしても、石油が有限だから原子力を開発しろと言ったのだ。現在、オイル・ピークを意識する人のあいだにも、安い石油がふんだんに手に入らなくなるなら、原子力開発を急げという声がある。いや、水素燃料電池の開発を急げという人もいる。実際、燃料電池に使われるプラチナの価格は上昇中だし、原発燃料のウランもかなり高値をつけている。

原発の推進ロビーは地球温暖化でもオイルピークでも何でも、自分達の都合の良いように利用したがるものだが、忘れてはならないのは、ウランにしてもプラチナにしても、石油と同じように地球から掘り出す鉱産資源であり、掘っていけば、石油と同じようにやがてピークを迎え減耗するものだということだ。12月9日付けの鉱業界サイトには、パン・アメリカン・シルバー社の社長が「銅がどうやらピークに達したようだ」と発言した記事が載っている。
http://www.mineweb.net/sections/base_metals/675068.htm

NSW大学環境学部のマーク・デイィセンドルフ教授は、「オーストラリア・サイエンス」誌(2005年7月号)で、現在の数の原発を使っていっても、ウランは20年以内に枯渇すると述べている。それがどの程度、正確なのかはともかく、ウラン資源もやがてピークを迎え枯渇することは間違いない。オイル・ピーク後の時代、ほんの数瞬、原発は代替になるかもしれないが、応急処置に過ぎない。恒久的な代替ではなく、あとに残されるゴミは恒久的だ。

エネルギー消費を右肩上がりで上昇させながら、代替エネルギーでまかなうなんてことはできない。腹を括って、消費を減らすしかないのだ。オイル・ピーク以後の時代の対応について、国営イラン石油会社(NIOC)の幹部、アリ・サムサム・バクティアリが10月28日付けのホームページでピーク以後の社会の処方せんを書いているが、まずは、心の持ち方を変えるところから始めなければならない。
http://www.sfu.ca/~asamsamb/homedown.htm#

ピーク後の石油減耗時代に、ばら色のシナリオはありえない。「いつもどおり」や「これまでどおり」はあり得ないのだ。そう、考え方を改めるところから始めなければならないようだ。

(13/12/5)

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