日本でも,ようやく,オイル・ピーク問題が取り上げられ始めました。日本初のピーク専門ブログ「ん!」によれば、オイルピーク問題を日本で初めて(?)取り上げたのは,愛媛県議員の阿部悦子さんです。一般メディアでは紹介されていませんが,「ん」が質疑の模様を記録しています。
阿部議員の県政府への質問。
(1)ピークオイル説について、県はどのような見解を持っているのか。
(ここ2年近く、原油価格の高騰が続き、水産業、運輸業をはじめ、県民生活に圧迫を与えはじめている。米国や欧州では、原油価格高騰の問題に関連して、ピークオイルがすでにおこりつつあるのではないかとの議論が活発になっている。)
(2)ピークオイル時代の到来に備え、「緊急事態対応計画」を策定するつもりはないか。
(米国のサンフランシスコ市議会やポートランド市議会では、この春、今の石油高騰がピークオイルの印であるとして、緊急事態対処計画を策定するよう決議をあげている。 世界的な石油生産のピークが2010年までに到来するという最悪のケースを見据え、地域社会に与える悪影響を分析し、危機管理の一環として計画を立てる必要がある。また、ピークが来た際には、自治体自身が廃止縮小する事業をどのようにしゅん別し、新たな体制づくりを行う必要があると考えるが、県としてどのように考えているのか、併せて問う。)
(3)脱石油型、自動車に依存しない都市づくりへの転換を計る方向で、公共事業のあり方を見直すつもりはないか。
(2030年頃までの長期的な観点から問う。)
(以上「ん!」より転載)
世界中の人間が直面する問題に真正面から切り込んだ、まことに明快な質問です。
これに対する県の役人の答えは、かなり紋切り型ですが,(1)については、「県民生活や産業経済活動に及ぼす影響が大きい」ことを認めており、「国や地方が適切な役割分担の元、将来を見据えた省エネルギー対策やエネルギー源の多様化などの取り組みを積極的に進めていくことが重要」だと結んでいます(上甲経済労働部長)。
しかし、具体的にどうするか、となると、(2)の答えにあるように,
「国のエネルギー政策に基づき、国との役割分担の元、地域における取り組みを推進していこうとしておりまして、今の段階では緊急事態対応計画を策定するつもりはございません。また、廃止縮小する事業をしゅん別したり、新たな体制づくりを行う考えもございません」。
つまり、「国との役割分担」と言っても,しょせんは国まかせ。国がなんとかしてくれる。県レベルでできることから取り組むほど、火急の「緊急事態」とは見なしていないようです。
(3)については「物流、救命救急、それに人の移動など、数多くの分野において依然として自動車を必要としており、今後ともこのような社会のニーズに備え、適切な公共事業の推進に努めてまいりたい」(清水土木部長)と,何がなんだかわかりません。
ピークの兆候はすでに世界各地で確認されており,原油価格だけをみてもここ4年の間に3倍にあがっています。ピークに達してしまえば,エネルギー・コストは上昇することはあっても,以前のようなレベルに戻ることはあり得ません。これから訪れるのはアメリカの作家,ハワード・クンスラーが「延々と続く非常事態」と表現した時代なのです。「自動車を必要」としている「数多くの分野」において支障を来し、「社会のニーズ」に備えられなくなるのです。そんな時代に,県民の安寧を本気で心配するならば、クルマに頼らない地域社会、地域経済作りが「適切な公共事業」であることは明らかです。
しかも、「非常事態」を抜け出て、クルマに頼らない社会を作ることは一朝一夕にはできません。資源が先細りしていく将来,それはどんどん難しくなるばかりで、楽にはなりません。米エネルギー省の要請でまとめられたハーシュ・レポートは、ピークによる影響を緩和するためには最低でも20年かかるとしており、たとえピークへの到達が楽観的な2030年だったにしても,すぐに「適切な公共事業」に取り組まなければ手遅れになります。それほど,火急なことなのです。
現在,出身の信州では知事選が行われています。「海こそなけれもの沢(さわ)に 万(よろず)足らわぬ事ぞなき」と歌われた信州ですが、今はどうなのでしょう。何でも足りているのでしょうか。ピーク以降のエネルギー下降の時代への備えはどうなんでしょうね。いまでも安曇平に暮らしていたら,「蜻蛉男児」の両候補に尋ねてみたいところです。
阿部議員の県政府への質問。
(1)ピークオイル説について、県はどのような見解を持っているのか。
(ここ2年近く、原油価格の高騰が続き、水産業、運輸業をはじめ、県民生活に圧迫を与えはじめている。米国や欧州では、原油価格高騰の問題に関連して、ピークオイルがすでにおこりつつあるのではないかとの議論が活発になっている。)
(2)ピークオイル時代の到来に備え、「緊急事態対応計画」を策定するつもりはないか。
(米国のサンフランシスコ市議会やポートランド市議会では、この春、今の石油高騰がピークオイルの印であるとして、緊急事態対処計画を策定するよう決議をあげている。 世界的な石油生産のピークが2010年までに到来するという最悪のケースを見据え、地域社会に与える悪影響を分析し、危機管理の一環として計画を立てる必要がある。また、ピークが来た際には、自治体自身が廃止縮小する事業をどのようにしゅん別し、新たな体制づくりを行う必要があると考えるが、県としてどのように考えているのか、併せて問う。)
(3)脱石油型、自動車に依存しない都市づくりへの転換を計る方向で、公共事業のあり方を見直すつもりはないか。
(2030年頃までの長期的な観点から問う。)
(以上「ん!」より転載)
世界中の人間が直面する問題に真正面から切り込んだ、まことに明快な質問です。
これに対する県の役人の答えは、かなり紋切り型ですが,(1)については、「県民生活や産業経済活動に及ぼす影響が大きい」ことを認めており、「国や地方が適切な役割分担の元、将来を見据えた省エネルギー対策やエネルギー源の多様化などの取り組みを積極的に進めていくことが重要」だと結んでいます(上甲経済労働部長)。
しかし、具体的にどうするか、となると、(2)の答えにあるように,
「国のエネルギー政策に基づき、国との役割分担の元、地域における取り組みを推進していこうとしておりまして、今の段階では緊急事態対応計画を策定するつもりはございません。また、廃止縮小する事業をしゅん別したり、新たな体制づくりを行う考えもございません」。
つまり、「国との役割分担」と言っても,しょせんは国まかせ。国がなんとかしてくれる。県レベルでできることから取り組むほど、火急の「緊急事態」とは見なしていないようです。
(3)については「物流、救命救急、それに人の移動など、数多くの分野において依然として自動車を必要としており、今後ともこのような社会のニーズに備え、適切な公共事業の推進に努めてまいりたい」(清水土木部長)と,何がなんだかわかりません。
ピークの兆候はすでに世界各地で確認されており,原油価格だけをみてもここ4年の間に3倍にあがっています。ピークに達してしまえば,エネルギー・コストは上昇することはあっても,以前のようなレベルに戻ることはあり得ません。これから訪れるのはアメリカの作家,ハワード・クンスラーが「延々と続く非常事態」と表現した時代なのです。「自動車を必要」としている「数多くの分野」において支障を来し、「社会のニーズ」に備えられなくなるのです。そんな時代に,県民の安寧を本気で心配するならば、クルマに頼らない地域社会、地域経済作りが「適切な公共事業」であることは明らかです。
しかも、「非常事態」を抜け出て、クルマに頼らない社会を作ることは一朝一夕にはできません。資源が先細りしていく将来,それはどんどん難しくなるばかりで、楽にはなりません。米エネルギー省の要請でまとめられたハーシュ・レポートは、ピークによる影響を緩和するためには最低でも20年かかるとしており、たとえピークへの到達が楽観的な2030年だったにしても,すぐに「適切な公共事業」に取り組まなければ手遅れになります。それほど,火急なことなのです。
現在,出身の信州では知事選が行われています。「海こそなけれもの沢(さわ)に 万(よろず)足らわぬ事ぞなき」と歌われた信州ですが、今はどうなのでしょう。何でも足りているのでしょうか。ピーク以降のエネルギー下降の時代への備えはどうなんでしょうね。いまでも安曇平に暮らしていたら,「蜻蛉男児」の両候補に尋ねてみたいところです。
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