Thursday, January 13, 2011

「ノアの方舟級」大洪水/Water water everywhere.

「ノアの洪水なみ」と称されるほどの大洪水がクイーンズランドやニューサウスウエールズ州を襲っています。クイーンズランド州の州都、ブリスベンは洪水が押し寄せたため、昨日は市内のオフィスから労働者が避難したそうです。ブリスベンは満潮とダムからの放水が重なり市内を流れるブリスベン川の水位が3メートル以上も上昇する見込みで、今夜から木曜にかけて、「壊滅的」な事態になるという警報が出ており、2万の家庭に避難勧告が出されています。クイーンズランド州の3/4が被災地帯に指定され、確認された死者の数はすでに10人を数え、90人が行方不明とのこと。



各地で道路が寸断され、通行止めになり、何百人もの観光客が足止めを食っているいるそうで、観光が売り物のこの辺りにとっては大きな問題です。しかし、もっと心配なのは食料など必需品の供給や、病人や怪我人などの取り扱いです。道路とクルマが頼りなところがほとんどなので、それが使えなくなると、本物の死活問題です。
いくつかのビデオを見ると、町の真ん中を川が流れる映像があったり、メインストリートに停車した車が押し流されていったり、小さな川があっという間に水かさが増し、車を何台も次から次へと飲み込んでいきます。家も土台から根こそぎ持ち上げられ、流れていきます。洪水に襲われた町はまるで巨大な台風か津波が通り過ぎたかのようで、自然の凄まじさをあらためて思い知らされます。この3週間で5度目の洪水に襲われている町もあります。このままいけば、州の歴史で最悪の自然災害だった1974年の大洪水(14人死亡、6000件のうちが冠水)の再来、どころかそれを上回るのではないか、いやこの国がはじまって以来の大洪水だという表現も出ています。

トゥワンバを襲う洪水のビデオ
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先日報告した砂糖価格の高騰は、サトウキビの大生産地帯であるこの辺が大洪水に見舞われているということもそのひとつの理由だという指摘がありました。もっともなことで、人間の生存がかかっているという時に、金の勘定なんて二の次になってしまいます。こんな場所から食料を買えることをあてにした「自由貿易」体制というものは、たぶん、信じられないくらいもろいものではないでしょうか。
何ヶ月前までは旱魃に喘いでいた場所に大洪水。地球環境がゲテモノ化しているのは間違いないでしょう。何年か前にこの大陸をあとにしたのも、こういうトンデモな異常気象がどんどん凄まじさを増していく、どんどん頻発化するだろう、とても住んでいられないという予測に基づくものでした。だから、それ見たことかって面することはできますが、とても対岸の火事ではありません。被災地の中には訪ねたことのある町もあれば、通り過ぎただけの町、名前を聞いたことしかない町もあります。それぞれの場所で自然の猛威にさらされる人たちの姿を見ると、とても他人事とは思えず、涙が出てきてしまいます。自分の暮らしているところで起こってもおかしくない、それが地球環境のゲテモノ化なのであり、たまたまオーストラリアはその影響がどっちゃリ、たっぷり出てくるに過ぎないのです。いやはや、大陸はものすごいことになっています。
p.s.
大陸の東岸は「ノアの方舟級」大洪水かと思えば、大陸の西側、西オーストラリア州、州都のパースの南では巨大な山火事が発生し、何軒かの家や小屋が焼け落ち、現在150人ほどが避難したそうです。放火だといわれていますが、火が瞬く間に広がるほど乾燥している、山火事にうってつけの条件であることが前提にあります。

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