引っ越しの日へ向けてのカウントダウンが続いてます。あと3週間もすれば、20数年暮らしたオーストラリアにもさようなら。
というわけで、相変わらず、いろんな締め切りに追われながら、あれやこれやに忙殺されてます。これが見納めかとばかり、いろんな場所やいろんな人、都合のつく限り出かけるようにしており、今週末にはブリスベンまで、パンクの元祖、セインツの再結成公演を見に行くつもりです。かつて音楽関係の仕事を一緒にやってた奴とふたり、夜行列車で出かけ、彼の地に暮らすゴー・ビトゥインズの生き残りとも一献する予定です。
その後もアデレードやメルボルンにも足を伸ばし、それやこれやの一切合切にけりをつけ、強力な蹴りを入れ、来月の半ばからニュー・ジーランドの南島で新しい生活を始めることになります。
引っ越していく先は南島の第二の都会、ダニーデンの北80キロくらいのところにある海岸沿いの村外れにある農場です。南緯46度、日本近辺で比較すると稚内よりさらに北になります。
今年の始め、「骨を埋める場所」をさがしにいって、ここにたどり着きました。因縁、とでもいうのでしょうね。何かに呼ばれていたのかもしれません。見つかるべくして見つかったのではないか、そんな気がして仕方がありません。
ニュー・ジーランドへ出かけてったそもそもの理由は、環境ゲテモノ化時代、オイルピーク時代という未曾有の時代に、ここにいたらヤバい。やっていけないぞ、救命艇となりうる場所を探そう、ということでした。そして、あちこち探しまわり、ある地所が気に入って、購入をきめてみたら、信じられないことに、その村はピークに関し,国のなかでももっとも熱心な運動を展開している場所でした。あちゃ。
いま暮らしている場所はやばいぞ、ピークなどの非常時には耐えられないかもしれない、そんな心配があり、この近くに「非常用の備え」として小川の流れる農場を借金したカネで買ってありました。ところが「千年に一度の干ばつ」のおかげなのか、「救命艇」は無惨にも息も絶え絶え、ひからびた姿をさらしているのを目にして、はっきりと決心しました。ここはだめだ。
引っ越し先はオーストラリア国内を、まず、あちこち検討しました。しかし、どこもかしこも似たような状態です。このまま、ここにいたらやばい。うかうかしていたら、乾いた大陸の上でアブラ切れになり、ひからびてしまうぞ。どうしよう。隣のニュージーランドはどうだろう。そんな危機感を抱いて、やってきたのでした。
この村にたどり着いたのは、そうして、北島の北端から始めた旅も6週目、オーストラリアを出る前に目星をつけた場所を中心に、いろいろな物件を見てまわりましたが、なかなかこれという場所にであえず、こりゃ、もうだめかな。表示は日本語、ラジオも日本向けのまま、ホンダのロゴって中古車の中で、最初から計画を練り直さないといけないかな、なんて話が出始めた頃でした。
気候ゲテモノ化時代やオイルピーク時代に望ましい住まいの条件はいくつかあります。
自然の条件として、水が手に入ること、これは重要です。水がなければ、人間も動物も植物も育ちません。とは言え、ゲテモノ化時代のこと、これまでの数字はあくまでも参考にすぎません。まあ、それを参考にしつつ、雨を作り出す森林の近くが望ましい、アルプスに源を発する大河のそばもいいかな。というくらいです。
大地の力はもっと、頼りになるかもしれません。ゲテモノ化時代に降水量や気候の変化は予測できませんが、土地の持つ肥沃さはとりあえず不変です。
ゲテモノ化時代の海面上昇を考慮すると、あんまり、海岸に近い低地は避けたい気がします。そして、ニュージーランドは日本のような地震国であり、温泉とか火山はありがたいけど、地震プレートの集合する巣のような場所は避けたいなあ。
人工の条件としては交通インフラが重要です。どんなにすばらしいパラダイスのような場所でも,クルマに移動や物流を頼らなければならないような場所はアウト。問題外です。ピーク以降の時代に、クルマに物流を頼る店は営業が難しくなり、そんな店に食料を頼る暮らしは先細ることが目に見えてます。とても暮らしていけません。自分が出かけることよりも、食料などの物資がどうやって自分のところに届くのか、そういう意味で交通インフラは重要です。
じゃかすかとクルマが使える時代が終息していく時、頼りになるのは鉄道や港湾です。
現在稼働中の鉄道路線や港湾がベストです。鉄道なら旅客と貨物,両方が走っていればいいのですが、とりあえず、貨物だけでもまあオーケー。ピーク以降の早い時期に旅客サービスも復活することでしょう。その次は、廃線になっているものの,線路などのインフラは撤去されずに残っている,そういう場所。鉄道が再び必要になるとき,まず、復活するのはインフラの残る場所です。
船についても同様で,現在港湾設備があり、稼働している場所がベストです。特にニュー・ジーランドや日本などの島国では、沿海航路がエネルギー下降時代の物流の主力になるだろうと思います。港、そして、いまは使われていないが,かつて港として使われた場所、自然条件が整った場所などがピーク以降の時代「交通の要所」として、再び復活することでしょう。
家の場所としては、これら、鉄道の駅や港湾などの「交通の要所」から遠くても30キロくらいの地点がのぞましいのではないでしょうか。ピーク以降の時代、食料などのモノが届くとすれば、こういう場所になります。まあ,このくらいの距離なら、自転車でえっちらおっちら、何とかなる距離です。それ以上になるとつらい。図書館や大学などの高等教育機関,古本屋にレコード屋,なんていう、知的なポイントがこのくらいの距離にあるとありがたい。これらは、あるといいなあという施設ですが、郵便局,銀行,店,医者などは必要な条件で、それよりももっと近いところ、1キロから5キロ、歩いていける場所にあるのが望ましいです。歩いていける距離にあるといい。
ってな条件を満たす場所で、しかも、農場とうちを売却した金で買える範囲で、自分たちの食料を賄えるほどの生産ができそうな場所をさがして回りました。
相棒も私も、事態は深刻化する、しかも、今年の夏あたりから加速するだろうと言う読みでは一致してますから、一刻の猶予もならないなんてことはわかりきっている。そういう時代の勢いというか、時の流れ、性急さを加味しながら、見て回る物件、訪ねた場所を採点しながら、ロゴをびゅんびゅんと飛ばしていきました。
(続く)
2 comments:
山頂2号さま
新地が素晴らしい土地でありますことを、心より、遠く日本から祈念しています。
私も、自分なりにそこそこの救命ボートをつくるのに、必死です。できれば、ホントに、NZに移住したいくらいです。残念ながら、いろいろの事情で、日本を出るのが不可能です。山頂2号さんのお考えやご健闘ぶりに、いっぱい励まされています。
夢子
夢子さん、
コメントありがとうございます。
はい、どこへでも流木のように流れていける自分はそれなりに幸せだと思います。
でも、これから流れていく場所が「楽天地」とはかぎりません。「地球」という限界があり、そこから逃れることはできません。
ので、地球のことを思いながら、それぞれの場所で、それぞれができる限りのことをする。そういうことになると思います。
がんばってください。
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