Thursday, July 03, 2008

IEA見通しと日本のマスコミ/Too knackered.

7月になり国際エネルギー機関(IEA)は原油需給の中期見通しを発表しました。
日本のメディアでもあちこちで報道されています。
どれも原油の需給逼迫が続くこと,これからも原油高が続くという趣旨を伝えています。これらの報道はどれも間違いではありませんが今回の見通しで一番重要な部分が欠落しています。

2007年以来,中期見通しはOPEC、非OPEC諸国の生産に関しかなり大規模な下方修正をしてきた。これらの見直しが必要になったのは,平均12カ月と推定されるプロジェクトの遅れ、そして世界全体で平均5.2%の減耗(昨年の4%から上昇)のおかげである。 世界の安定生産を保つためには毎年、日産3.5百万バレルの新しい生産が必要になる。

IEAのプレスリリースより。

昨年の予想では4%だった減耗率を今年の発表では5.2%に修正しています。これは日本のような消費国のメディアにとってはとても大きなニュースなはずです。この率はリチャード・ハインバーグなど、ピークに早くから警鐘を鳴らしてきた人たちの提唱する「オイルピーク議定書」の予想する減耗率をはるかに上回ります。こんな率が14年も続けば生産量は現在の半分に減ってしまいます。

しかも、IEAの報告は生産量について言及しているだけということにも,日本のようなアブラ輸入国のメディアは注視しなければなりません。毎年、「日産3.5百万バレルの新しい生産」がなければ世界の安定生産は維持できない。しかし,アブラ輸入国のメディアが注視しなければならないのは,仮にそれだけの増産が達成されたにしてもそれがすべて国際市場に出回るとは限らないという点です。原油マネーで潤うロシアやサウジなどの産油国では国内消費が増加しており、こんな調子で産油国の経済成長が続けば、アブラが国際市場に出回る量はどんどん減っていきます。

ウォール・ストリート・ジャーナルはIEAが「どんどん悲観的になり、ピーク論者と変わらなくなっている」と伝えています。日本のマスコミはいつになったらピークに気がつくのでしょうか。

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