マスコミではほとんど黙殺されているようですが、サン・フランシスコは全米ではじめて、オイル・ピークの脅威を認め、対策に取り組むことを宣言した都市になりました。「Peak Oil Plan of Response and Preparation(オイルピーク対策と備え)」は、11日の市議会において、10人の議員、満場一致で採択されたそうです。
ピーク以後のインパクトにどこの都市が耐えられるのか、Sustainlane.comが最近、全米の50大都市について比較をしています。都市の住民のうち、通勤にクルマに頼るする人の割合、公共交通の有無、食料のローカル自給度などを評価し、ランク付けしたものです。ピークの影響が広範にわたることは常々指摘してきたとおりで、ただ単にガソリンの値段が上がるだけにはとどまりませんが、ひとつの指標にはなります。サン・フランシスコは、ニューヨーク、ボストンに次いで、三番目です。
例えば、一位になったニューヨークでは53パーセントが通勤に公共交通を使い、10%近くは徒歩や自転車で通勤しています。これに比べ、最下位はオクラホマ・シティ。ここでは85パーセントがクルマで通勤するそうです。総じてモータリゼーション以後、60年代、70年代に開発されたサバーブが大きな位置を占める都会はピークの影響をもろに受けやすい、とこの記事は結んでいます。
サン・フランシスコ市議会がピーク対策宣言を全会一致で可決するところまで漕ぎ着けたのは、San Francisco Oil Awareness、Post Carbon San Francisco、SF Informaticsなど、オイル・ピーク市民団体が、市民の啓蒙活動から宣言の下書きまで、これまで2年以上にもわたり、市議会の議員たちに働きかけてきた結果です。
議員たちの意志決定には、大統領の発言や連邦議会でピーク問題がしばしば討論されるようになったこともあります。以前、触れましたが、米エネルギー省の要請で行われたハーシュ報告書の警告を受けとめた結果である、市議会議員たちはそう口にしています。
サンフランシスコ市民の関心を喚起したのは一枚のポスターでした。市民団体の一つ、SF InformaticsがGlobal Public Mediaと共同で作り上げた「the Oil Age(石油時代)」というポスターです。ピークについて、知らない人に説明するのは時間もかかることですが、これを見れば一目瞭然。1859年に幕をあける石油時代が2050年まで描かれています。私たちが今、どこにいるのか、それを分かりやすく説明しています。
すでに、このポスター、ロスコー・バートレット議員の手で、連邦議会の全員に配られているそうです。日本やオーストラリアの政治家にも、一枚ずつ、自分の事務所に貼ってほしいものです。
とてもよくできたポスターなので、うちでも何枚か購入し、近所で使おうと思っています。世界中のほとんどの自治体同様、わが町も、未だに、ピークを見ようとしない人たちがかじ取りをしています。途についたばかりであり、具体的な「エネルギー下降計画」はこれから編出していかなければなりませんが、とにもかくにも足を踏み出すことを決めたサン・フランシスコの住民に拍手喝采!
●サンフランシスコ市議会の決議の全文は下記よりダウンロードできる。
www.sfbayoil.org/sfoa/media/SFOA_Peak_Oil_Resolution.pdf
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